「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

コーライトのチーム作りについて

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こんにちは。作曲家のペンギンスです。

 コーライトで大事なのが誰と組むかです。そこには大きくわけて2つのタイプがあり、ひとつが「毎回同じメンバーで、チームのような感じで作る」タイプ、もうひとつが「曲ごとにその都度声をかけて組む」タイプ。今回はこのあたりの話をしたいと思います。

・「毎回同じメンバーで、チームのような感じで作る」(固定チーム型)

 これは僕の経験で言うと一度うまくいった、良い曲ができたコーライト、成果が出たメンバーがそれをきっかけに、以降わりと固定的にそのメンバーでコーライトするというケースが多いです。メリットとしては役割分担、キャラ分担がはっきりしているので、短い納期でもすぐに動き出して完成にこぎつけられることがあげられます。また何度もコーライトしていく中で信頼関係が構築されていきます。ノウハウもたまり、各自が思い描いたことがどう最終形に活かされるかも想像しやすくなるので、ブレずにゴールまで走りやすいというのはあると思います。デメリットとしてはどうしてもコーライトが形骸化して、効率だけを重視する分業体制のようになって、いわゆる「ケミストリー」(楽曲が大化けする)が起こりにくくなる面はあるかもしれません。ただし気心が知れたメンバーでコーライトを重ねることで冒険がやりやすくなるのもまた事実。このあたりは毎度同じメンバーの、その性格しだいというところもあるかもしれません。

・「曲ごとにその都度声をかけて組む」(変動メンバー型)

 年間100曲の中身を見ると、僕は多分こっちのほうがやや多いですね。言い出しっぺがディレクション担当として描く曲の完成形のイメージに対して、似合うメンバーを誘って声をかけて組むというパターンです。メリットとしては1曲1曲の完成形のイメージありきで声をかけるので、適材適所、その曲にもっともふさわしい人を選べるということがあげられます。また毎回違うメンバー同士のケミストリーが期待できますし、相性が良いな、と思ったら自然と前記の「毎回同じメンバー」に発展していっても構わないというのも利点かと思います。デメリットとしては毎回出たとこ勝負のメンバー選びになるため、短い納期で確実に曲を作らなければいけない場合だと、下手するとスケジュールの都合で誰もコーライトメンバーが見つからないなんてこともありえます。また適材適所と口で言うのは簡単でも、曲に合うメンバー、自分に合うメンバー、いずれもそう簡単に見つけられるものではありません。個人的には毎回メンバー探しに頭を悩ませるのが理想的な姿、コーライトの本義に適ったコーライトらしい姿だと思いますが、難しいところです。

 上記のように、固定チーム型、変動メンバー型、それぞれに利点はあります。ここでも忘れてはいけないのが「クライアント・ファースト、からの楽曲ファースト」の姿勢だと思います。曲を求めているクライアントが一番喜ぶ楽曲を提供する。そのためにできるベストなメンバーは誰か?という気持ちでいることが、何よりも大事だと思います。コーライトは手段にすぎません。バンドの結束、バンドの友情とは、また少し違った関係性なのかもしれない、と思います。

【次回予告】
次回は「曲を完成させない勇気!?」です。