「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

固定チームがいいのか、その都度チームを組むのがいいのか

 こんばんは、作曲家のペンギンスです。寒くなってきましたね。昔からペンギンキャラで通してきたので寒いのが好きとか得意とか思われることが多いんですがそれ誤解です。何よりも寒いのが嫌いです。冬が憂鬱です。
 今日はコーライトをするときにはいつも同じメンバーで固定チームを組むのがいいのか、それとも曲に合わせてその都度チームを組むのがいいのか、という話をしたいと思います。結論から先に書くと、僕は「その都度チームを組みたい派」ですが、詳しくは以下に書きます。

 コーライトも何曲か経験を積んでくると、次第に慣れてきます。ここでよくあるのが、「同じ人とコーライトするようになる」という流れです。そりゃ前回もコーライトしている人と組んだら多少は信頼関係が芽生えているし、お互いの得意不得意もよくわかっているし、楽ですよね。そしてコーライトが楽であるというのは決して悪いことではないです。むしろ「いい曲たくさん作るぞ」というのはコーライトが苦しいことだったら決してできません。だからコーライトが楽なのは良いことだと思います。 
 いっぽうで「多様な相手とコーライトする」というメリットもあるし、逆に言えば「同じ人とばかりコーライトする」というのはデメリットもあります。このあたりを列挙していきましょう。
 まず多彩な相手と多彩な曲を作ったほうが、コーライトの可能性をより深く知ることができます。「へぇ、あの人はこういうやり方だったけど、この人はこういう別のやり方をしているのか」という学びは多ければ多いほど身になるし新鮮な気持ちになれますよね。
 また、正直ひとりの相手とずっとコーライトしていると、その相手のレベルを超えた刺激を受けることは難しいのではないでしょうか。武士じゃないですが常に手合わせの相手は強い人、うまい人がいい。
 そして「採用される曲を作る」という観点からみてみると、そもそもディレクターなどクライアントが求めている曲にベストな布陣が毎回同じ固定チームであるというほうが幸運というか、珍しいと思いませんか?「激しいハードロック」という発注と「EDMで踊れる感じ」という発注をいつも同じメンバーでコーライトするのって不自然ですよね?多彩なターゲットに採用されることを目指すなら、少なくとも分野ごとに得意な人を見つけてコーライトすることは間違いなく必要かと思います。
 以上のような理由から、基本的には僕は「その都度、採用されるためのベストを尽くすという観点から、先入観なく組む相手を探すのが良い」と考えています。
 とはいえ、固定チームならではの良さもあります。まず何と言っても信頼関係がどんどん深まる。コーライトがうまくいくかどうかは相手にはっきりと意見が言えるかどうかにかかってるという面がありますが、信頼関係がしっかりとしていればいるほど、相手にも「そのアイデアは正直あまり面白くないと思う」とか「このメロディー(歌詞)は正直ターゲットのアーティストらしくないから、俺に直させてほしい」みたいなこともストレートに言えると思うんですね。これがコーライトをなぁなぁにせず、レベルの高い楽曲を提案できることに繋がっていく固定チームのメリットだと思います。
 つまり固定チームであっても「なぁなぁ」にならなければいいんだと思います。常にオープンな気持ちで、相手の意見を尊重しつつも、よい音楽、ヒットする音楽のためには妥協はせず衝突を恐れない。それがしっかりできるようであれば、固定チームでもその都度チームを組むのでもどちらでもコーライトはうまくいくのではないでしょうか。

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