「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

得意を作って、不得意を作ろう

 こんばんは、ペンギンスです。
 もうすぐBlack Fridayという音楽家界隈の一大イベントがやってきます。といってもこれは別にフェスとかそういうのではなくて、端的に小売業であらゆるものがバーゲンセール状態で大安売りになるというイベントです。元々アメリカ発祥で、現地では特に音楽に限らず小売業全般で11月最終金曜日に大セールが行われるようですね。
 ただ日本にいて作曲家をしているとBlack Fridayといえば完全に「ソフトシンセやプラグインが異様に安くなる日」です。なので当然作家仲間がワクワクしながら情報交換したりしてるんですが・・・僕はどうも毎年盛り上がれないんですね。なんでだろう?って考えてみたんですが僕、機材にほとんど興味がないんです。
 あ!誤解しないでほしいのですが機材なんてなんでもいいと思っているわけではありません。多分人並み以上に音質にはこだわるし、作業効率も重視します。良いモニタースピーカーで聴きたい、ストレスのないオーディオインターフェースで作業したい、便利なループ、いっぱいほしい。なんかいっぱいピカピカ光ったりムービングフェーダーがついてるコンソール、カッコいい。ただ、ずっとコーライトしてきて気付いたんですが、トラックメイクが得意な人の機材に対する興味こだわりと比べたら僕はほとんど興味がないと言われても仕方ないレベルなんですね。結構こだわってると思っていたが上には上がいたという・・・。
 その時思ったのが、タイトルの内容です。「得意を作ると、不得意ができる」。どういうことか?
 僕はここ数年トラックメイク(アレンジ)をほとんど自分でやらずに、ただひたすらにメロディー、歌詞、全体の構成、ボーカルまわりといった順序で、言ってしまえばメロディーオタクの道を邁進していました。なので気がつけば誰にも負けないくらいメロディーについては考え抜いてきたし、そのメロディーが活きる歌詞とは?構成とは?歌い方とは?といった順序で物事に時間を割いてきました。「誰にも負けない」と、少なくとも言えるくらいの努力はしてきたと思います。で、その結果、能力値のパラメータがメロディー関連に振り切られたため、相対的に見るとトラックがすごく不得意になりました。それでも数年前の自分と比べると、トラックを作ることも多少は伸びているのかもしれません。何しろ腕利きのトラックメーカーたちとコーライトしているだけで、色々なノウハウに触れることができますから。でも、それが小さく見えるくらいにメロディーを作ることが得意になったから、全体で見るとトラックメイクが不得意になってるんですね。
 ここから思ったのが、不得意があったほうがいいな、何か捨てたほうがいいな、ということです。それだけ聞くとなんかネガティブに聞こえますがそうではなくて、むしろとことん好きなこと、向いてること、得意なことに振り切って努力を続けると、それ以外の要素についてどんどん「なんで俺はあのレベルで好きだとか興味があるとか果ては得意だとか思っていたんだろう」という風に謙虚になっていく自分がいます。そうやって「わざと不得意になった」分野で、人とコーライトする。そうすることでコーライトの価値を最大限に発揮できます。
 あることを究極まで得意になれば、相手にそれを提供することで大きなメリットを与えられます。得意を作った結果できた不得意は、コーライト相手が見返りに補ってくれるから大丈夫。というわけで、何かをとことん得意になることで、わざと不得意を作ろう、そうするとコーライトがうまくいく、というお話でした。

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