「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

PTSありがとうございました&TDでした

おはようございます、作曲家のペンギンスです。

 

昨日は改めてペンギンスTIPSシリーズ第3弾「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」にお越しくださりありがとうございました!

 

課題を添削したりしながら、やっぱり自分の考えとは違うもの、新しかったり個性があったりする考え方に出会うことができ、僕も長沢さんもためになるひとときでした。

 

そしてそのまま自宅を出発して、某案件のTDのため池尻大橋のformさんへ。

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こちらまもなく情報公開の案件となります。

楽しみ!

事前に全部公開します!9/18開催「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」教材ページ【後半】

こんにちは、作曲家のペンギンスです。

-はじめに-

本日のブログ記事は、以下のとおり9月18日に開催するオンラインセミナー「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズ Vol.3-」の事前公開教材となっております。

既にお申し込み頂いた方は当日の受講までにこのページをご一読頂いてから参加されますと、スムーズに内容が理解でき、また事前に質問点をまとめるなどセミナーを有効に活用できるかと思います。

またこのブログ記事を読んでためになった!こう言う記事を待っていた!という方はおそらく9/18の当セミナーを受講いただきますと非常に有意義な価値を提供できると思いますので、以下のPeatixサイトから是非お申し込みをご検討いただければと思います。

↓↓↓当ブログ記事が事前公開教材となっているセミナーはこちら!↓↓↓
「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」
-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズVol.3-

https://penguins-tips-vol3.peatix.com/

-本文-

前半の記事では、「コードチェンジのタイミングの重要性」「コードワークの終わりかたの重要性」「音楽には重心があり、重力がある」といった点を中心に、具体的な6つのコードワークをTIPSとしてご紹介しました。今回も引き続き、主要なコードワークを客観視しつつ、とくにJ-POP的な構造とグローバルポップの構造の違いがわかるように説明していけたら、と思います。

なお、今回の講座では、全ての参考曲のkeyをCに移調して表記しています。これは度数表記(I,II,IIIなどトニックからの相対的な度数で表記する方法)よりも見やすく、かつ原曲のkeyで表記するよりも構造を抽象化しやすいためです。

TIPS7「F-G-Am-Em」
参考曲「STAY feat.Justin Bieber」The Kid LAROI

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現在(2021年9月時点)、SpotifyグローバルTOP50の頂点に居続ける大ヒット曲です。さまざまなJ-POP理論書等で「王道進行」などを言われるF-G-Em-Am、いわゆる「4-5-3-6』進行・・・と思いきや、こちらはF-G-Am-Emの「4-5-6-3」ですね。この違いの大きさについて、次の曲と比較して感じてみてください。

TIPS8「F-G-Em-Am」
参考曲「夜に駆ける」YOASOBI

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こちらは2020年の日本の大ヒット曲、YOASOBI「夜に駆ける」です。こちらはJ-POP王道進行のF-G-Em-Am「4-5-3-6」が使われていますね。お気づきの通り、TIPS6でとりあげた「STAY feat.Justin Bieber」とは同じF(4度)始まりなのに全く雰囲気が違います。その違いを作り出しているのが、コードワークの後半。「夜に駆ける」はEm-Amと、正確ではありませんが一応ドミナントとなるEの音からトニックのAへと戻るのに対して、「STAY」ではその逆のAm-Em。ここからも、やはりJ-POPがトニックへと戻る「ドミナント・モーション」やそれに近い動き(類似、変化系)を多用することが見て取れます。前回の記事ではメジャーキーでのドミナント・モーションをみてきましたが、マイナーキーでも例外ではないということです。コードワークの後半にJ-POPとグローバルポップの差異が出てくる、というのも、前回の記事でとりあげた通りですね。

TIPS9「F-C-G-Am」
参考曲「Good Time」Carly Rae Jepsen feat. Owl City

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こちらはサブドミナントのFから、一気にCに行くという進行。F-G-Cというカデンツ進行のGを飛ばしているため、非常にクールで浮遊感のある響きが特徴です。そのためグローバルポップ、特にUS系の楽曲では相当に多用されている印象があります。これをうまくJ-POPに落とし込むことはできないのでしょうか?

TIPS10「F-C-G-Am」
参考曲「ギブス」椎名林檎

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できます。さきほどのGood Timeと同じ進行をサビで用いているのが椎名林檎の「ギブス」です。いかがでしょう。同じF-C-G-Amなのにメロディーの天才的な載せかたにより見事にすぐれたJ-POPに昇華されています。このように、Fのコード、いわゆるサブドミナントからはじまるコードワークは、原理的にドミナント・モーションを回避するのに役立つ側面があり、繊細な感情や浮遊感を演出するのに適しています。そのためJ-POPにおいては王道進行F-G-Em-Am(4-5-3-6)として、グローバルポップではF-C-G-AmといったF-C型のコードワークで実例が多数みられます。

TIPS11「F-E7-Am-Gm7-C7」
参考曲「Got to Be Real」Cheryl Lynn 

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ここからは、ソウル、R&Bの世界で多用される進行を紹介したいと思います。TIPS11ではCheryl Lynnの「Got To Be Real」をご紹介します。こちらのコードワーク「F-E7-Am-Gm7-C7」は近年J-POPの、YOASOBI、yama、ずっと真夜中でいいのに等の「夜行系アーティスト」の楽曲できわめて多用されているコードワークで、これを用いたGrover Washington, Jr.の「Just the Two of Us」からとって「Just the Two of Us進行」と呼ばれたりもしています。このコード進行の利用例を、つづいてJ-POPからみてみましょう。

TIPS12「F-E7-Am-Gm7-C7」
参考曲「丸の内サディスティック」椎名林檎

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・・・というわけでこちら、椎名林檎「丸の内サディスティック」のサビ部分ですね。実はこのTIPS11、12あたりはこれまでのTIPSのような「J-POPとグローバルポップで同じコードワークがいかに違う活用をされているか」という話とはちょっと違うんですね。はい。こういったソウル、R&Bをルーツに持つコードワークは、J-POPでもグローバルポップでもかなり近しい文脈で、似たような使われかたをしていることが多いんです。これはおそらくソウル、R&Bといったルーツミュージックは、現代の最先端のグローバルポップから歌謡曲寄りの伝統的なJ-POPまで、幅広く影響を与えているので、同じコードワークが同じ理解の土台の上で共通に使えているということかと思います。

TIPS13「Dm7-G-Em-Am」
参考曲「September」Earth, Wind & Fire

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というわけで、TIPSが予定の12個を少し超過してしまいましたが、最後に追加で2つ、ご紹介させてください。同じ「Dm7-G-Em-Am」というこれまたソウル、R&Bをルーツに持つ2度(Dm7)始まりのコードワークです。まずこれを使った大ヒットといえばEarth, Wind & Fireの「September」ですね。サビ(コーラス)の部分にご注目ください。

TIPS14「Dm7-G-Em-Am」
参考曲「Message」福山雅治

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いっぽう、こちらがJ-POPの懐メロでの同じコードワークの使用例。ソウルの影響は相当少なく感じるロックバンドなアレンジですが、サビで同じコードワークを使っていますね。ホーンセクションが似合うのはEarth, Wind & Fireと共通しています。ルーツミュージックからの影響が、まったく違うJ-POPとグローバルポップで違う花を咲かせた瞬間といえると思います。

 

いかがだったでしょうか。前半・後半を通した全体的なでの学びをまとめておきます。

・コードワークにおいては、コード進行だけでなく、コードチェンジのタイミングも重要
・コードワークの冒頭が注目されがちだが、本当に曲の雰囲気を作るのは終わり方
・G7からCに戻る力「ドミナント・モーション」など、音楽には重力がある。
・ドミナント・モーションはマイナーキーでも存在し、J-POPでは多用される。
・サブドミナントから始まるコードワークは、ドミナント・モーションの力を打ち消す効果が期待できる。
・ソウル、R&Bにルーツを持つコードワークはJ-POP・グローバルポップ双方で同じように活用することができる

これらのTIPSを活用して、あなたの曲をこれまでよりも幅広く、多様なニーズに合わせて多様な表現ができるようになってくだされば幸いです。

最後までお読みくださりありがとうございました。講座を受けるかたは、当日おこしくださるのを楽しみにしています!

 

 

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「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」
-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズVol.3-

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事前に全部公開します!9/18開催「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」教材ページ【前半】

こんにちは、作曲家のペンギンスです。

-はじめに-

本日のブログ記事は、以下のとおり9月18日に開催するオンラインセミナー「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズ Vol.3-」の事前公開教材となっております。

既にお申し込み頂いた方は当日の受講までにこのページをご一読頂いてから参加されますと、スムーズに内容が理解でき、また事前に質問点をまとめるなどセミナーを有効に活用できるかと思います。

またこのブログ記事を読んでためになった!こう言う記事を待っていた!という方はおそらく9/18の当セミナーを受講いただきますと非常に有意義な価値を提供できると思いますので、以下のPeatixサイトから是非お申し込みをご検討いただければと思います。

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「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」
-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズVol.3-

https://penguins-tips-vol3.peatix.com/

-本文-

今回お伝えしたいのは、コードワークについてのお話です。といっても「ふーん」という方が多いのではないでしょうか。それもそのはず、今や書籍やwebでコードワーク(コード進行、和声理論etc)と呼ばれるものは多数紹介されています。YouTubeなどにはわかりやすいコードワークの解説動画がたくさんあります。特定のコード進行や、コード全体の理論についての説明はそれらに譲ります。今回ここでお伝えしたいのは、「あなたの曲の可能性を広げる」コードワークとはなんだろう?ということです。

誰もが音楽をはじめる時、特定のアーティストに憧れたり、特定のジャンルを好きになったりします。そして意識的にも無意識的にも、自分が生まれ育った国や、世代に大きな影響を受けています。実はこういった背景によって、みなさんひとりひとりのコードワークは、無意識のうちに影響を受けているのです。自分では、自由にコードワークを選んでいるつもりが、自分の世代、出身地、趣味によって、大きく制約を受けている、ということです。

だとすれば、もしもコードワークというものを客観的に見ることができれば、いわばそういった制約から自由になれる翼を手に入れるようなものです。というわけで、今日は「古今東西のさまざまなコードワークを客観的に比べてみて、自分のコードワークの癖を知り、コードワークの「大きな仲間わけ」を知り、自分の曲のコードワークを客観的にコントロールすることで、自分のコードワークの可能性を広げる」・・・そんなことを目標にしていけたらと思います。

今回もTIPS形式でお届けします。12のコードワークをTIPSとしてまとめました。12個は単体ではなく、2個セットになっています。そして、J-POPとグローバルポップを比較するスタイルとしました。似ているコード進行、時には全く同じコード進行であっても、J-POPでの活用されかたとグローバルポップでの活用されかたは驚くほどちがいます。そこを感じていただくことが大きな曲作りのヒントになると思います。

前置きが長くなってしまったのでいきましょう!

なお、今回の講座では、全ての参考曲のkeyをCに移調して表記しています。これは度数表記(I,II,IIIなどトニックからの相対的な度数で表記する方法)よりも見やすく、かつ原曲のkeyで表記するよりも構造を抽象化しやすいためです。

TIPS1「Am-F-C-G」
参考曲「WITHOUT YOU」The Kid LAROI

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まずは昨年(2020年)のグローバル・ヒットから。アコースティックギターの弾き語りに近いシンプルなアレンジで、しかもKeyがC/Amなので非常にわかりやすい例です。Am-F-C-Gという、マイナーのトニック(主音)のコードから始まるよくあるコードワークです。後半がC-Gとなっている点と、コードチェンジがゆったり(1小節ごと)している点を覚えておいてください。次の曲と比べてみましょう。

TIPS2「Am-F-G-C」
参考曲「Get Wild」TM NETWORK

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一気にタイムマシンで時代を遡り笑、1987年の日本のヒット曲に。こちらはTIPS1と同じでAm-Fから始まりますが、後半、C-GではなくG-Cと進行します。GからCへの流れは、いわゆるカデンツ進行(起立、礼、着席)の「礼→着席」のくだりと一緒で、非常に音楽を一方向に向かって進める強い「重力」を感じさせます。これをドミナント・モーションといいます(正確にはG7-C)。また、TIPS1ではコードチェンジがゆったり(1小節ごと)でしたが、この曲ではコードチェンジが2拍ごと(急)になっています。このような、ドミナント・モーションと頻繁なコードチェンジがJ-POPらしさを作っているといってよいでしょう。

TIPS3「C-G-Am-Em」
参考曲「Basket Case」GREEN DAY

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もう一度グローバルヒットに戻ります。90年代のパンクロックを代表するGreen Dayです。パンクロックらしいシンプルなコード進行ですが、ここでもコードの順序に注目してください。CからG、AmからEmです。ドミナントモーションとは反対の動きをしていることに注目してください。

TIPS4「C-Em-Am-Gm7(-C7)」
参考曲「ヘビーローテーション」AKB48

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そしてこちらが、J-POPの中のJ-POP、ザ・日本スタイルの究極といえるAKB48の大ヒット曲です。こちらではEm-Am、あるいはGm7に注目してください。Em-Amというマイナーのドミナント・モーションに近いものが登場します(正確にはE7-Amですが、同じEからの動きをしているという意味)。そしてGm7ですが、原曲ではGm7-Fと進行していくのですが、音楽理論的にはGm7-C7-Fという動きの省略形と解釈してみると、ここに「ツーファイブ」と呼ばれる非常に古典的なコードワークがあることがわかります。

ツーファイブ、というのはツーは2、ファイブは5なので、2-5ということですね。これは冒頭に申し上げた度数表記(I,II,IIIなどトニックからの相対的な度数で表記する方法)で2(Key=CでいうとDm7)から5(Key=CでいうとG7)に行くということなんですが、その先でかなりの頻度で5から1(Key=Cでいうと、もちろんC)に行く進行です。手短にいうと、ツーファイブは実は、ドミナント・モーションの仲間なんです。つまり!これまた音楽の重力を感じさせる進行なわけです。

J-POPのど真ん中だったAKB48が、音楽の重力であるドミナント・モーションとツー・ファイブに忠実である・・・このことを覚えておいてください。

TIPS5「C-G(onB)-Am-C(onG)-F-C(onE)-F-F(onG)」
参考曲「Permission to Dance」BTS

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そしてこちらも、代表的なコード進行のひとつです。先ほどから説明している「音楽の重力」をつくる「ドミナント・モーション」の行き先、つまり「音楽の重心」である「トニック」。これはKey=CだとするとC、つまりKeyの音をそのままコードにしたものですね。そこから順に下がっていくコード進行です。これは基本的には極めてJ-POP的なコード進行なのですが、たいへん珍しいことに最新(2021)のグローバル・ヒットの中に見つけることができました。それがEd Sheeranが提供したこちらのBTS「Permission to Dance」です。Cから下がっていく感じは日本人にとって懐かしい歌謡感がありつつも、コードチェンジのタイミングを感じてみてください。

TIPS6「C-G(onB)-Am-Em(onG)-F-C(onE)-Dm7-G」
参考曲「負けないで」ZARD

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さて、トニックから順に下がっていく進行といえば、J-POPの名曲「負けないで」をださないわけにはいきません。しかし、一聴してさきほどの「Permission to Dance」とはまったく雰囲気が違いますね。なぜでしょうか?理由をふたつあげたいと思います。
ひとつは、コードチェンジのタイミング、というかコードチェンジとリズムアレンジの関係です。BTS「Permission to Dance」では2拍ずつコードチェンジしていきますが、コードチェンジの前に8分音符ひとつのビートがあります。口でいうと「じゃん、じゃーじゃん、じゃーじゃん」という感じ。ビートに揺らぎがついている感じがして、グルーヴィーですね。
それに対してZARD「負けないで」は完全にスクエアで、さらにスネアが頭打ちになった状態で同じ2拍単位のコードチェンジ。メロディーも4分音符中心で非常にスクエア。なのでグルーヴィーな音楽というよりはロックのフィーリングが強いですね。これだけで同じトニックから順次下降する進行でも、まったく違う印象になります。
さらに、2つ目の違いとして、コード進行の終わり方が違います。Permission to Danceでは

「C-G(onB)-Am-C(onG)-F-C(onE)-F-F(onG)」

と、最後の2つ、Fで下降をやめて上昇に転じるのに対して、ZARD「負けないで」は

「C-G(onB)-Am-Em(onG)-F-C(onE)-Dm7-G

と、、、おっと出ました、「ツーファイブ」ですね。J-POPらしくしっかりツーファイブで折り返すことで、ドミナント・モーションが強調されています。そう、全体的な傾向として「J-POPのほうが、グローバルポップと比べて、ドミナント・モーションを強調する、ドミナント・モーションを利用する傾向が強い」ということが言えます。

いかがだったでしょうか。ここで軽く前半での学びをまとめておきますね。

・コードワークにおいては、コード進行だけでなく、コードチェンジのタイミングも重要
・コードワークの冒頭が注目されがちだが、本当に曲の雰囲気を作るのは終わり方
・G7からCに戻る力「ドミナント・モーション」など、音楽には重力がある。

という感じですね。とくに3つ目はめっちゃめっちゃ大事です。体操選手が三半規管でバランスを取るように、音楽家は三半規管でコードワークのバランスをとるのです。音楽には重力があります。それに比較的従う(J-POP系)のであれ比較的自由になる(グローバルポップ系)であれ、まずは重力を理解しないといけません。重力があるからこそ鳥も跳べます。自由になるためにも、重力があることを知りましょう。


後半も、これらのことを頭におきながら読み進めてみてください!
それでは後半でまた、お会いしましょう。

あなたの曲の「選択肢」を増やしたい!オンラインセミナー「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」開催です!

こんにちは、作曲家のペンギンスです。
最近あったうれしかったことは梨の農家さんからおいしい梨をいただいたことです。もう秋ですね。ぐへへ。

さて、芸術の秋、勉強の秋、ということで、毎月恒例ペンギンスTIPSシリーズ第3弾は、コードワークについて取り上げたいと思います。

「あなたの曲の可能性を広げる12のコードワーク」
-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズVol.3-
https://penguins-tips-vol3.peatix.com/

===開催概要===
日時:2021年9月18日(土) 16:00-17:30
場所:オンライン(ZOOM)で完結
価格:一般:¥5,000
   「山口ゼミ」受講経験者割引:¥2,000-
   Co-Writing Farmメンバー:¥1,000-

コードワークって多分、数ある音楽の要素の中で一番ネットや書籍で論じられる率が高い理論的要素だと思うんですよね。それは論じやすい、アーカイブがたくさんある、ということでもあるし、難しい話にすぐ展開していくので知的好奇心をくすぐられるというのもあると思います。

でも、今回もペンギンスTIPSシリーズの基本方針「TIPSにおとしこむ」を実践します。つまり、理論そのものを伝えるのではなくて、「これを聞いてくれたら、あなたの曲のコード進行の選択肢が増えます」「もっとあなたが表現したいことにピッタリのコード進行が見つかります」というコンセプトでいきます。一般論ではなく、あなたのためのレコメンドをお伝えしていきたいと思います。

Peatixサイトから申し込めますので、お気軽にどうぞ!お会いできることを、とっても楽しみにしています。

「トラック先でしかも詞先なライティング」がアツい!

おはようございます、作曲家のペンギンスです。きょうめっちゃ天気いいすね!テンションあがりますわ!(最近天気の話ばっかしてる)

さて、最近ちょっとおすすめのコーライティングスタイルがありまして。

結論から言っちゃうと「トラック先でしかも詞先」なんですが。
これいいです。

前提を話すと、J-POPの、とくに歌謡曲寄りな案件では、まず最初にメロディーとコードをつくって、それをアレンジしながら、歌詞を書き、歌を歌う、という順番が多いわけです。(メロ→歌詞・アレンジ)【メロ先】

それに対して、グローバルPOPでは、なんといってもまずトラック(アレンジ)が先にあって、トラックに対して歌いながら歌詞とメロディーが同時に生まれていく(トップライン)ことが多いです。(アレンジ→メロ→歌詞)【トラック先】

いっぽう、昭和の歌謡曲やフォークの時代から脈々と息づいている邦楽らしい手法として「詞先」というのがあります。歌詞のメッセージが最重要だからまず歌詞を書く、それに合わせてメロディーなりアレンジなりを作っていく、というものですね。(歌詞→メロ→アレンジ)【詞先】

というわけで、メロ先・トラック先・詞先といろいろな順番があって、それぞれにメリットがあるわけですが。

最近トライしてすごくいいな、と思ったのが「トラック先で、しかも詞先でもある」というやりかたなんです。

まずトラックメーカーがかっこいいトラックを作る。そのトラックにインスパイアされた作詞家が歌詞を作る。その歌詞をトラックをいかすような良いメロを、最後に書く。(トラック→歌詞→メロ)【トラック詞先】

ってことですね!

やってみて思うんですけど、この方法はとにかく「自然な音楽」ができるんですよね。

トラックによってまずビートから始まることで、自然なリズム、体が動き出す音楽になる。次に歌詞によってコンセプトであったりメッセージが生まれることで、感情に寄り添う納得感も生まれる。

そういう説得力が既に存在してる状態で最後に書くメロは、もうトラックと歌詞に支えられて、自然と良いものになるなという感想です。少なくとも、何がしたいのかよくわからない、失敗メロ、ということにはなりにくい。

メロディーが一番大事だという気持ちは変わらないんですが、だからこそ具体的にどうやってメロを書くかという話になると、このように「他のコンディション(トラックや歌詞)を決めてしまってから最後に書く」ということにより、曲全体のすがたからみたときに一番自然なメロディーになるのは大きなメリットだなと思いました。

ねんのため補足をしておくと、メロディーを書くときにまったくトラックや歌詞を100%活かさなくてはいけないというわけではありません。特に歌詞については数回やってみましたが元のままということは考えづらく、文字数などは相当調整をしました。ですので無条件に先行する存在(トラック・歌詞)を受け入れるのではなく、あくまで良いメロディーになるためには前段階のアウトプットに対して手を入れることもいとわない姿勢が大事ですね。

これを読んでるみなさんも、トラック先でしかも詞先なライティング、ぜひおためしください。

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コーライトの成否は「3人目」の力次第-「3rd person skill」の重要性-

こんにちは、作曲家のペンギンスです。
永谷園のチャーハン食べたい。

今日は考察を書きたいと思います。
ここ最近、仲間とずっと話し合っていたことです。
長文です笑

タイトル通り、コーライトの成否は3人目が握ってるよ、って話をします。

「なんで?コーライトじゃなくてもいい曲できるよ。2人だってできるよ。3人目って数え方次第じゃない?なんでその人が握ってるの?」

もっともな疑問です。

でははじめます。

*

コーライティングをするとき、特に対面で会って、会話してリアルにセッションをしていく時。よくあるチーム編成は、ひとりがトラックメーカー、ひとりがシンガー、そしてもうひとり、というものです。

このとき、この「もうひとり」っている意味あるのでしょうか?

トラックと歌があれば音楽はできます。じゃあ、トラックもシンガーもできない人がいる意味ってあるのでしょうか?

あります。

超あります。
そしてこの人がコーライトの成否を決めます。

という話をします。

巷でいわれている「コーライトも”よしあし”ですよね・・・」という事実上の「コーライト否定論」については、おそらくこの「もうひとり」が"よしあし"ですよね・・・という話かと思います。

完全に肯定します。コーライトも「よしあし」です。

「あし」のほうにしか出会う機会がなかった方が、コーライトに否定的な見解を述べられることは無理もありません。むしろ「悪いコーライト、低レベルなコーライト、無意味なコーライト」にしっかり声をあげてくださっているのは音楽愛、プロとしての矜持の証拠です。僕は現場のリアルに根ざした誠実なクリエイターの意見としてリスペクトしたいと思います。


*

改めて、コーライトってなんだろう?
と考えると、音楽っていう「モノ」を複数名で作り上げるわけですよね。

作るモノが、音楽であれ、映画であれ、服であれ、万里の長城であれ仏像であれ、、。複数名が関わって作り上げる時には、大きくわけて2つの役割があります。

ひとつが「目に見えるものをつくる仕事」です。音楽でいえばこれは「直接耳にきこえるものをつくる仕事」といってもいいでしょう。

例えばシンガー(歌手)は、声を出して歌をうたい、その歌がレコーディングされてリスナーの耳に届きますから「直接耳にきこえるものをつくる仕事」といえるでしょう。

またトラックメーカー(アレンジャー)、そして楽器演奏者(プレイヤー)も、DAWでつくったビートやアレンジ、ピアノやギターの演奏がリスナーの耳に入りますから「直接耳にきこえるものをつくる仕事」といえるでしょう。これがひとつめの役割です。

そしてモノづくりにおけるもうひとつの仕事は「目に見えないものをつくる仕事」です。音楽でいえばこれは「直接はきこえないものをつくる仕事」です。

そんなものあるのか?と思うかもしれませんが、じつは「作曲家(作詞家)」こそがこれにあてはまります。作曲家が紙に書いたりDAWに打ち込んだメロディーは、そのままでは世に出ていきません。トラックメーカーの手によって鳴らされ、シンガーによって歌われないと存在しないのと一緒です。作詞家が紙に書いたりWordやメモアプリに書いた歌詞は、そのままでは世に出ていきません(基本的にね)。これまた「シンガーによって歌われないと存在しないのと一緒」なのです。

こうしてみると、この目に見えないものを作ることが、いわゆる「コンセプトづくり」のようなものだということがわかってきます。「歌詞」と「メロディー」というのは直接のモノづくりではない。でもだからこそ、ここがうまくいったときの価値は無限大です。アイデアひとつで、曲の価値が一気にふくらみ、名作・傑作ができる。そういうイメージでしょうか。

「コーライティングをするとき、特に対面で会って、会話してリアルにセッションをしていく時。よくあるチーム編成は、ひとりがトラックメーカー、ひとりがシンガー、そしてもうひとり」と私は冒頭に書きました。で、これ超大事なのは「まずそういうふうにものを見てますか?」ということなんです。

作曲家・作詞家が中心にいると思ってません???

トラックメーカーが「アレンジを手伝ってくれる」とか、仮歌さんが「メロに合わせて歌詞を歌ってくれる」と思ってません???

そうじゃないんすよ!

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ちょっとぼくが温泉でつくった図を貼りますけども。

このAのところが「旧来型の作詞・作曲家」で、Bが「シンガー」で、Cが「トラックメーカー」で、Dが「3rd person」です。

で、僕みたいにトラックメーカーでもなくシンガーでもない人間がコーライトしているとつい「作詞・作曲をする」という考え方=「図中のAだけやってればいい、という考え方」をしてしまいそうになりますが、それだけじゃ今の時代価値を生み出せてないんですよ。

僕が思うに、いま同時代を生きて活躍しているクリエイターで、Aだけしかできないという人はまず見かけないです。

必ずシンガーであったり、トラックメーカーとして優れていたりします。

とはいえ「シンガーでもトラックメーカーでもないけど、優れた作詞家・作曲家である」という人も確かにいます。

そう!その人はまさにA+D・・・
コミュニケーションやアイデアや人望や営業力で付加価値を生む「3rd person」なんですよ!!!(超太字)

この話はどうしても「はいはい、商売上手になれってことね」みたいなメッセージにも聞こえてしまうので、あえてアート寄りな表現をすると・・・

「仏作って魂入れず」とはよく言ったもので、まさにトラックメーカーとシンガーが、目に見える「仏」を作ったとしても、そこに3rd personが目に見えない「魂」を入れなければ、音楽という「仏像」は完成しない・・・と言ってもいいでしょう。


そしてこれは言うまでもない話ですが、「3rd person」という表現はあくまで「コンセプトを説明するためのもの」で、コーライトは3人でなきゃいけない必然性はなく、2人でもいいし4人でも5人でもいい。3rd personという言い方が取ってつけたようであれば「第三者視点」とか「付加価値つける係」とか、既存の単語でいえば「ディレクション」とか「プロデュース」とかでもいい。たとえば2人でコーライトしていて、いつも素晴らしい曲ができて結果もよい、となった場合、これは2人でコーライトしてるけどそこに「3rd person」のスキルを持った人がいるからなんですよ。

もっといえばコーライトじゃない、1人で曲を作っているひとで、良い曲を作るひともいれば、そうじゃないこともありますよね。ひとりでだって素晴らしい曲は、さっさと、ごまんとできる。当たり前です。

その違いって、その人がじぶんのなかに「3rd person skill」を持っているかなんですよ。

コーライトというか、音楽の成否を決めるのが「3rd person skill」なんですよ。

こう書くと、コーライトという「せまい話」に限らない、音楽をつくる上で一番大事なスキルが「3rd person skill」なのだ、ということがわかると思います。

ひとりでつくるにしても、コーライトするにしても。仏に魂を入れるパスポート、それが3rd person skillなのだ!ということだとおもいます。

*

長々と書いてしまいましたが。

いちばん大事なのは「トラックメーカーでもシンガーでもない(私のような)人間」が、たんに「作曲家」と名乗ることができる時代は、テクノロジーの進化とポップ・ミュージックの発展によって終わりつつある、という(自己)認識です。

今や音楽は「トラックメーカー」という「実際に物理的にスピーカーから出る音をつくる人」と、「シンガー」という「実際に物理的に歌を歌う人」の2つの役割があれば成立します。(1人でこれをやってる宅録SSWもいますね)よくよく考えると、紙とペン(DAWであるにせよ)で「メロディーを書いて」「歌詞を書いて」いる人。

いりますか?

「よほど良いメロディーや歌詞ならばいるだろう」というのもその通りです。まさにその通りで、今や作曲家には「よほど良い」ことが絶対条件として求められています。そしてこの「よほど良い」を要素分解すると、そこには「ヒットする可能性がある」「感動する」「人を惹きつける驚きがある」といったなにかの「付加価値」が欠かせないということになります。その価値をうみだす「3rd person skill」が、音楽家として「仏に魂を入れる」ために一番たいせつなものだ」ということをお伝えしたいです。

とても一回のブログでは書ききれない内容だと思います。異論・反論もあると思います。あとこの話はたぶん誤解を招きやすいので、いろいろな誤解がきっと一人歩きしていくと思います。SNSで見かけたらそっと読みます。そしてなにか補足や訂正が必要だったり、自分のなかで考えが深まったら、またブログを書いてみたいと思います。

最後までお読みくださり本当にありがとうございました。

ローリンヒル。

こんばんは、作曲家のペンギンスです。
珍しく間があいてしまいました。

ちょっといくつか「これはがんばって気合いれて書きたいな」というテーマがたまっていて、そうすると肩に力が入って、更新止まってしまって・・・。

よくないですね。気軽に一度書いちゃいます。

というわけで、単なるおすすめ曲を書くという安易なやつです笑

最近久々によく聴いてるのが・・・

open.spotify.com

ローリンヒル。

1998年に発売され、その年の伝説となったソウルの名盤中の名盤。グラミー賞11部門ノミネート、5部門受賞。2014年にはアメリカ議会図書館に永久保存された、、。

とまぁ、肩書きはすごいのですが敢えておいておいて笑、

とにかくこのアルバムはいい音楽です!

たぶんいいアルバムって「詞曲アレンジがいい」「録音がいい」「コンセプトがいい」という3つを兼ね備えている必要があると思うんですが、まさにその代表例と言えると思います。R&B、ヒップホップの美しき集大成ともいえる素晴らしい曲たちを、最高のコンディションで真空パックした録音(当初NYで始めたレコーディングですがOKテイクの大半はジャマイカのキングストンだそうです)、そしてMiseducationというコンセプト。ジャケットは学校の机に彫刻刀で掘った落書きのような自画像で、1曲目は教室で出欠をとるSEから、というのがもういいですよね。

当時中学生だったんですがHMVでこれを視聴して「なんか、かっけぇなあ(浅い感想)」と思いCDを買ったことを思い出しました。

関連アーティストも、改めてこの機会に聴いていってみようと思います。こういう時サブスクのRadio機能やレコメンド機能は良いですね。

CDも一応リンクを。

 

The Miseducation of Lauryn Hill