「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

コーライトってこんな感じvol.2「トップライナーという役割」

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こんにちは、作曲家のペンギンスです。

 前回、コーライティングとは何か、そして曲作りにはどんな役割があるのかを説明しました。今日からしばらく、その役割を一つずつ紹介していきたいと思います。

曲作りの要素=コーライトの役割一覧
1・メロディー、コードを考える(いわゆる狭義の作曲)

2・歌詞を考える(作詞)
3・トラックと呼ばれるビートや様々な楽器の演奏、打ち込み(編曲)
4・歌を歌う(いわゆる「仮歌」)
5・ビジョンを示し、全体の進行を管理し、上記1-4をまとめる(ディレクション)

 今日は上記一覧の「1・メロディー、コードを考える」です。コーライトにおいてメロディーを考える役割を、「トップライナー」と呼びます。本ブログでも今後「トップライナー」で通します。

 トップライナーについて語る際には、コーライトの大きな二大潮流「トラック先行型」「メロディ先行型」の2つについてまず説明が必要でしょう。

・「トラック先行型」とは?
 最初にトラックメーカー(上記一覧の「3」)が先陣を切ります。カッコいいトラック(伴奏)を作り、そのリズムやコードに合わせてトップライナーがメロディーを作るパターンです。海外で多く見られるパターンです。
 トラック先行型の場合、トップライナーは「とにかく良いメロディーを、速攻でいくつも生み出す抜群のメロディセンス」が求められます。全体的な方向性はトラックによってある程度定められていますので、あとはメロディーのクオリティが全てです。

・「メロディ先行型」とは?
 最初にトップライナーが先陣を切ります。良いメロディーを作り、そのメロディーやコードに合わせてトラックメーカーがトラック(伴奏)を作るパターンです。
 メロディ先行型の場合、トップライナーはメロディーセンスに加えて「何もないところから曲全体のビジョンを描く戦略性」が求められます。メロディーのクオリティが大事なのも勿論ですが、メロディーが単体で存在することはありえず、コード感やリズム感、ひいてはアレンジや全体の構成にも大きく影響してきます。曲全体の完成形をイメージした上でメロディーを作ることが大切になってきます。

・トップライナーの特徴「他の役割との連携や融合がポイント」
 トップライナーは上記一覧の「1(狭義の作曲)」を担当しますが、実際には「2(作詞)」や「4(仮歌)」とあわせて1人が担当したり、別の人がやるにしてもそれらの役割とかなりの連携が必要です。というのも、歌モノと呼ばれる歌が主役の音楽ではメロディーがただ書かれた音符として単体で存在することはありえず、実際にはそのメロディーにどんな歌詞が乗るのか、どんな風に歌うのか、によってメロディーの最終的な印象が決まるからです。
 その意味で、メロディーにはこだわるけど歌詞やボーカルはどうでもいい、という気持ちではトップライナーとして不十分かもしれません。自分で歌詞を書いたり歌うことができなくても、歌詞がついて、シンガーが歌って・・・と進んでいくなかで「思い描いた理想のメロディーになっているか?」と最後まで見守る姿勢が必要だと思います。

 トップライナーについておわかりいただけたでしょうか。次回以降、引き続きコーライトの様々な役割について説明していきます。

【次回予告】
次回は「コーライトってこんな感じvol.3」です。