「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

コーライトってこんな感じvol.4「トラックメーカーという役割」

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こんにちは、作曲家のペンギンスです。

曲作りの要素=コーライトの役割一覧

1・メロディー、コードを考える(いわゆる狭義の作曲)

2・歌詞を考える(作詞)
3・トラックと呼ばれるビートや様々な楽器の演奏、打ち込み(編曲)
4・歌を歌う(いわゆる「仮歌」)
5・ビジョンを示し、全体の進行を管理し、上記1-4をまとめる(ディレクション)

 前回まではトップライナーや歌詞について話をしてきました。これらは一般的に作詞・作曲と言われる分野ですが、今日は一般的に編曲と言われる分野、コーライト用語でいう「トラックメーカー」についてお話しします。なお、J-POPのコーライトではトラックメーカーとほぼ同義の言葉として「アレンジャー」があります。一般的にはこちらの用語のほうがポピュラーかと思いますが、このブログではコーライト用語である「トラックメーカー」で進めたいと思います。

 トップライナーの章でお話ししましたが、コーライトの二大潮流として「トラック先行型」「メロディー先行型」があります。前者の場合トラックメーカーは先陣を切って自分のビジョンをビートや音色で表現します。後者の場合メロディーにインスパイアされて似合うビートや音色でトラックを作っていきます。
 トラックメーカーの重要性はますます高まっています。海外では日本以上にその傾向が強く、トラックメーカー=プロデューサーとしてトップライナーが出してきたメロディーの決定権も持っていると聞きます。それもそのはず、基本的に完成した音楽がスピーカーから流れるとき、そこから出てくる全ての音はトラックメーカーの手によるものだからです。(歌詞やメロディーを表現しているボーカルだってトラックメーカーによってミックスされています)

・トラックメーカーの特徴「トレンドへの敏感さと冷静な視点が必要」
 トラックメーカーとして秀でている人を見ていると、最先端の音楽的流行や最新の機材に詳しい人がやはり多いです。メロディーももちろん時代によってトレンドはあるのですが、トラック側の流行の変化の激しさはやはり段違いだと思います。常に洋楽、邦楽問わず新しい音楽を聴き、最新の機材を積極的にチェックする必要があります。いっぽうで忘れてはならないのは「誰のための曲か」ということです。クライアントが求めているものが懐かしいサウンドであれば、それに寄り添う必要があります。クライアントが求めているのが王道のバンドサウンドであれば、ダブステップやEDMのトレンドを持ち込むのはお門違いでしょう。最先端・最新が目的ではなく、幅広いオーダーに対応できることが重要です。トレンドを敏感に感じつつも、何が求められているか冷静に判断することが必要だと感じます。

 いかがでしたでしょうか?歌詞は紙に文字で表現することができますし、曲は五線譜にオタマジャクシで表現することができますが、音楽そのものは音でしか記録できません。トラックメーカーはその音を扱うプロです。音楽の最終責任者として、楽器演奏やDAW、アレンジ、ミックスといった工程後半をバッチリ締める重要なポジションと言えるでしょう。

 トラックメーカーについておわかりいただけたでしょうか。次回は曲の成否を決める重要な存在、ボーカル(仮歌)についてお話しします!

【次回予告】
次回は「コーライトってこんな感じvol.5」です。