「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

コーライトってこんな感じvol.7「コーライトの真の価値はディレクションにある!(後編)」

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こんにちは、作曲家のペンギンスです。

曲作りの要素=コーライトの役割一覧
1・メロディー、コードを考える(いわゆる狭義の作曲)

2・歌詞を考える(作詞)
3・トラックと呼ばれるビートや様々な楽器の演奏、打ち込み(編曲)
4・歌を歌う(いわゆる「仮歌」)
5・ビジョンを示し、全体の進行を管理し、上記1-4をまとめる(ディレクション)


 前回に引き続き、コーライトにおけるディレクションの重要性についてお話ししたいと思います。前回はディレクションって何ぞや、という話をして、ある程度はご理解いただけたと思うので、今回はもう少し掘り下げた話をしたいと思います。

 ディレクションって一言でいうと「何人でコーライトしている曲であっても、自分ひとりで作っている時と同じ気持ちでいること」じゃないかなって気がします。自分ひとりで作っている時って、当たり前ですが曲の全ての要素を自分で作り上げていかなくてはいけないですよね。歌詞のなかの一言にこだわりたいし、メロディーの1音が気になってなんども直すし、ピアノのボイシングはめちゃくちゃ気になるし、ミックスで音圧が足りなかったら「どうしよう・・・」って思って何度もやり直しますよね。

 それと同じことをコーライトでもしよう、というのがディレクションなんじゃないかと思います。今回はトップライナーだからアレンジはお任せ、とかメロディーがイマイチ気に入らないけど右から左へ、はいアレンジだけやって仕上げますよ、とかそういう縦割り意識みたいなものがあるとコーライトは成り立たないなーと。全プロセスに当事者意識を持つと、自然とコーライトメンバーを巻き込んでコミュニケーションをとることが増えます。曲の完成形のイメージはこうなんだ、そう語る機会が増えます。気づけば「あいつはディレクションができる」と言われるようになってた、そんな感じでディレクションという役割を理解することができるようになるのではないでしょうか。

 ただ難しいのは、これって決して「100%楽曲をコントロールする」という意味ではないんですよね。細かいとこまで全部自分のイメージを徹底しようとしたら、それはなんていうか逆にディレクションができない人だなっていう感じがします。だって100%コントロールしたいなら自分でやればいいじゃないですか?そうじゃなくて、コーライトメンバーの良いところを活かして、もっと言えばコーライトメンバーを好きになって、一番輝けるポジションに各人に立ってもらって、結果の責任は自分にあると思って、最後までみんなで頑張るみたいな。

 別の言葉で言い換えると「正解がすでに存在すると思ってたらディレクションはできない。正解を作り出すのがディレクションだ」ということかもしれないですね。このあたりがコーライトしていて一番難しいけど、一番面白いところです。なんかもう音楽の話というか人間論みたいになっちゃいますけどw、でも、本当そうだなと思います。

 コーライトにおける各メンバーの役割について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。ちょっと硬めの文章、書き言葉でずっと書いてきたので少し疲れました(笑)。次回からは少しだけカジュアルに書こうと思います。何を書こうか迷いましたが、読む人にとってとっつきやすいと思われる「最初にコーライトしたとき」の話でもしようかなーと思います。よろしくお願いします!

【次回予告】
次回は「僕がコーライトに出会ったころ」です。