「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

曲作り中は悪人になろう

 こんにちは、作曲家のペンギンスです。
 僕の尊敬する作曲家のひとりである坂本龍一さんが以前、「ぼくは民主主義者だけど、音楽に多数決を持ち込むのはおかしい。このメロディーの先に来るメロディーがこっちがいいか、それともあっちがいいか、投票で多数決で決めるなんてありえないじゃない」という趣旨のことをどこかでおっしゃっていました。(出典を明示できなくてすみません)リベラルな知識人である坂本さんをして、ものづくりにおける多数決というのは作品がダメになる危険性をはらんでいるということをおっしゃっているわけですね。
 ひとりで音楽を作っている分には、自分のジャッジだけで作っていけばいいわけですが、上記の坂本さんのお話が重みをもつのはまさにコーライトのような場面かもしれません。バランスを取る判断というのもたまには正解だと思うんですけど、やはり一番大事な場面では、「これだ!」という強い確信を持ったメンバーが、それをしっかりと周囲に説明して、全員でその確信に乗っかるというのが良いのではないかと思います。
 ポイントは「これだ!」というアイデアで突っ走れというのではなく、「これだ!」というアイデアをちゃんとコーライトメンバーに説明できるか?ってとこなのかなと思ってます。それはなにも論理的に説明しろとかというだけじゃなくて、熱く語るでもいいし、実際に作ったり弾いたり歌ったりして説得力を持たせるでもいいし、自分がどれだけ強くそう思っているかを熱量で示せるのが素敵なやりかたなんじゃないかなって思います。今回のブログのタイトルで「悪人になろう」と書きましたが正確にいえば「善人なだけではダメだ」という意味ですね。調和を重んじるのではなく、作品のために前のめりになれるか、というのがコーライトで大切なマインドなのかなと、ぼくは思います。

【次回予告】
次回は「たき火を囲むように」です。

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