おはようございます、ペンギンスです。寒くなってきましたね。きょうは日本でコーライトをスタートする際に最初に作られることの多い「ファーストデモ」の理想形ともいえる、あるスケッチのお話をしたいと思います。
メロディーとコードだけの「ファーストデモ」は曲のいわば基本設計、ラフスケッチにあたるわけですが、この時点で「狭義の作曲」はほぼ終わっていると考えてよいでしょう。ですからこのファーストデモというのは素朴にして非常に重要で、全体のイメージを決定づける力を持っているわけですね。
ただどうしても簡単なスケッチですから、それを作る側も受け取る側も「ファーストデモなんて簡単に作れる」と思ってしまいがちです。しかしこれが非常に難しいのだ、というか、よしんば簡単だったとしても、その価値は大きいのだ、ということを伝えたくて、今日はある建物を紹介したいと思います。シドニーのオペラハウスです。
www.ohkaksan.com
上記のサイト(「近代建築の楽しみ-東京建物散歩」様)が非常に詳細な説明をされていたのでこちらを参考にさせていただきました。ありがとうございます。
このブログに来られた方でこの建物を知らないかたはいらっしゃらないと思います。むちゃくちゃ有名で、世界遺産にも登録されているオーストラリア・シドニーの劇場です。建築の世界も音楽と同様、コンペで物事を決めることが多いそうなのですが、このオペラハウスの設計もコンペで決めたそうです。で、その時に世界的な厳しいコンペを勝ち抜き採用されたのがデンマークの建築家、ヨーン・ウッツォンによる・・・こちらの設計です!
おい。
なめとんのか。
と思ったかたも多いと思います(僕も少し思いました)。なんでしょうこの明らかなラフ感。音楽でいうとDAWにMIDIデータを手弾きで入力してクオンタイズもせず「なんかサビはテレッテテーン、テテーン!みたいなそういう感じなんだよねー」ぐらいのラフさです。
で、完成形はこちらです。
おお!
そういうことだったのか!
僕が伝えたいのは、上に貼ったラフスケッチこそが、コーライトで一番素晴らしいファーストデモなのではないかということです。確かにこれに何分かけたんだかわかんないくらいのラフなスケッチで、もし価値というものが労働(苦労)の対価だとしたらこれは500円以下の価値しかないです。でも価値というのはかけた労働(苦労)の対価ではなくて、生み出されたビジョンの値段のことです。このラフスケッチには、建設場所という条件を考慮して「シドニー湾に浮かぶヨット」という素晴らしいビジョンがありました。さらに僕も初めて知ったのですが「同一の球体の一部を組み合わせて作る」というマジかよな数学的ビジョンもあったようで、アイデアが詰まった秀逸な「ファーストデモ」だったようです。
そしてこのオペラハウスはオーストラリアを代表する観光名所になり北半球からも沢山の外国人観光客が押し寄せるまでになり、最終的にはついに世界遺産になってしまいました。価値、ハンパないです。
さて改めてもう一度みてみましょう。
ファーストデモ
トラックメイク
(北海道建築技術協会様HPより)
完成音源
生み出された価値(シドニーの繁栄)