こんばんは、作曲家のペンギンスです。
年末に長沢さんとの対談を連載して以降、すっかり多忙になってしまいかなり更新のペースが落ちてしまっていました。私事ですが引っ越しを控えていたというのと、コーライト面でいうと何曲か並行して非常に重要な案件を抱えていたため、年末年始休まず(というかいつもの倍くらい)全力ダッシュしていた気がします。ブログが時の流れに消えてしまわないように我に返ってまた同じ様に更新していきます。
さてタイトルが最近思っていることです。良い曲よりも「似合う曲」。この場合誰に似合うのかというともちろんクライアントであるアーティストさんですね。そのアイドル、そのシンガー、そのバンドに似合う曲。
もちろん、作家を始めたころから理屈ではわかっていました。ただ、今振り返ると全然この言葉を正しい意味では受け止められずに、自分の都合のいいように解釈していたなと思います。
「良い曲なのは大前提で、その上でさらに「相手に似合う曲」である必要がある」
こういう風に解釈していたんですね。でも、これは自分勝手でした。「相手に似合う曲が良い曲だ」というほうが正しかったなと今では思います。
良い曲かどうかって、作家目線だとどうしてもメロディーが、とかコードが、とかそのレベルで考えてしまうけれど、実際に歌をディレクションしてみたり、ミックスに立ち会ってみたりすると、曲がリリースされるまでの間にアーティストさんやエンジニアさんの力によって曲はまったくその姿を変えていくんですね。で、リリースされた時には作曲家のイメージを大きく超えた「良い曲」として世の中に巣立っていく。
では、どうしてそんなに良い曲になるかというと、「似合う曲」だからなんだなと僕は思います。アーティストに似合う曲、ぴったりな曲というのは、アーティスト本人やスタッフの熱意をかきたてます。その熱意が歌になってミックスになって、世に出る作品に結実する。
だから「似合う曲」をまず作って、気に入ってもらって、みんなで力を合わせて「良い曲」に仕上げる。この順番で物事を考えると、いろいろうまくいくんじゃないかと思い始めた今日このごろです。