「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

事前に全部公開します!5/21開催「作曲家の知らないギターの世界〜弾けなくてもギターを活用できる12のTIPS」教材ページ【前半】

こんにちは、作曲家のペンギンスです。

-はじめに-

本日のブログ記事は、5月21日に開催するオンラインセミナー「作曲家の知らないギターの世界〜弾けなくてもギターを活用できる12のTIPS-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズ Vol.8-」の事前公開教材です。

既にお申し込み頂いた方は当日の受講までにこのページをご一読頂いてから参加してください。スムーズに内容が理解でき、また事前に質問をまとめるなどセミナーを有効活用できると思います。

またこのブログ記事を読んでためになった!こう言う記事を待っていた!という方はおそらく5/21の当セミナーを受講いただきますと非常に有意義と思いますので、以下のPeatixサイトから是非お申し込みをご検討いただければと思います。

↓↓↓当ブログ記事が事前公開教材となっているセミナーはこちら!↓↓↓
 「作曲家の知らないギターの世界〜弾けなくてもギターを活用できる12のTIPS」
-CWF presents ペンギンスTIPSシリーズVol.8-
https://penguins-tips-vol8.peatix.com/

-本文-

プロの作曲家は、得意分野を持ちつつも、基本的にはさまざまなジャンルのオーダーに応える必要があります。そして音楽のジャンルというのは多くの場合、どのような楽器を使うか、ということがおおきく関係してきます。作曲に使う楽器として、現在一般的なのはピアノなどの鍵盤楽器と、ギターなどの弦楽器です。とはいえ、現代ではDAWを使ってレコーディングをするため、データ入力装置である鍵盤が使えない人はほぼいません。ところが、ギターに関しては「ピアノが弾けるから」という理由で何も知らないまま音楽人生を過ごしてしまうことも可能です。ギターに関する理解の無さは、アニメタイアップでよくあるマイナー調のギターロックや、ONE OK ROCKなどに代表されるエモくてスケール感のあるロック(とそれをリファレンスにしたK-POP、J-POPなど)などを作る際には「いまいち分かってない感」として壁となり立ちはだかってきます。この講座では主にギターを弾けない、ギターを持ってない鍵盤奏者の作曲家を対象として、ギターについて理解を深め、それによってギターの魅力を作曲に活かせるようになることをねらいとしています。

これから説明する12のTIPSは、実はとくに「ギターが弾ける」とか「自分にぴったりのギターを買う」といったことを目的としていません。ギターが弾けないままでもかまわないのです。すべては「あなたの作曲に、ギターをもっと活用する」ためのものです。つまり、ここで知った知識を元に、コーライティング等で出会ったギタリスト出身の作曲家と共に楽曲を作り上げ、そこで「キーボードだけでは絶対出せないギターの良さ」を活かすことができれば、この講座は成功です!

では、さっそく「(鍵盤系)作曲家の知らないギターの世界」に・・・出発!

TIPS1「ギターの音が出る仕組み(ピックアップ)を理解しておこう」

これはギタリストの方からすると「そんなわけねーだろバーカ!」と言われてしまいそうですが、まず、エレキギターというのは弦がそのままシールドにつながって音が出ているわけではありません(自分で書いていてギタリストに殴られそうですが僕もプロになる直前まで知りませんでした・・・)
エレキギターの6本の弦の直下に「ピックアップ」と呼ばれる装置が埋め込まれていて、そこにコイルが存在しています。ここで弦の振動を電気信号に変換して、その電気信号がシールドを通ってアンプなどに繋がり文字通り「amplify(増幅)」されて、あの迫力あるエレキギターのサウンドになります。

このあたりの詳細はヤマハさんのサイトに詳細が載っていたのでリンクを貼り譲りますw

www.yamaha.com

まずは原理を理解した上でまなびたいですね!

 

TIPS2「ギターがどのようにして録音されているかを理解しておこう」

ギターの演奏を録音したあと、DAW上で多くの場合アンプシミュレータ等で音作りしていきます。この時に「そもそもエレキギターがどのようにして録音されているか」が理解できていると、プラグインの理解も深まりますので、触れておきます。

まず、エレキギターの録音には「アンプにマイクを立てて録る場合」「ライン録り」の2種類が大きく存在します。後者から説明すると「ライン録り」は文字通りギターのシールドのアウトプットをオーディオインターフェースやハードウェアアンプシミュレータ、プリアンプ等に差して、いわば電気信号を電気信号のまま、生の空気の振動には変換せずにレコーディング=デジタル変換してDAWにインプットするというものです。ただし、この方法も本質的にはアンプでのマイク録音を擬似的に信号で再現しているものなので、録音の理解のためには「アンプでのマイク録音」の理解が必要ということになります。

では、アンプでのマイク録音は何をしているのかというと、実は本質的にはアコースティックピアノやアコースティクギターと一緒で、良い空間で良い楽器が鳴っている音を「マイクを立てて集音し録音する」というものです。ただしエレキギターの場合、アンプで増幅しないとエレキギターサウンドになりませんから、ギターにマイクを立てるのではなくアンプの前にマイクを立てて録音するということになります。そのマイクが音源(アンプ)からどの程度距離が離れているか、マイクの種類は?本数は?・・・そう、ボーカルやアコギの録音と実はまったく同じです。プラグインでのギターの音色の調整も基本的にこの「リアルな生楽器としてのエレキ録音」を再現する方向でUIが設計されているので、「エレキギターはアンプから音が出る生楽器で、本来マイクで録音するもの」という理解をしておくだけで、プラグインの使い方も理解しやすくなるのではと思います。

以下ではマイキングの実際の画像が見られます。

www.snrec.jp

おなじみ「サウンド・アンド・レコーディング」誌のwebで、鈴木daichi秀行さんのスタジオにて実施されているこちらのレコーディングは、かなり参考になるのではと思います。

 

TIPS3「6本の弦のチューニング(E-A-D-G-B-E)を知り、得意、不得意の理解につなげよう」

私(ペンギンス)がギターを理解するにあたって、最初にたぶん高校生くらいですかね、まず身に付けたのが6本の弦それぞれのチューニングでした。一番低い6弦から順に、E-A-D-G-B-Eと、1箇所(2弦と3弦のあいだ)を除いて四度音程を基本にしたチューニングは、ギターに限らずベースにも共通するもので、ギター的世界観を表現するための基礎になるものです。もちろん、開放弦(弦を押さえないそのままの響き)のままで鳴らしまくるわけではないので四度音程ばかり出てくるわけではありませんが、ピアノの基本であるドミソ=トライアドや、バイオリンが五度音程を基本に調弦されていることと比べると、やはり四度音程が構造の基本にあるということはギターを知るうえで大切だと思います。

また、これらの弦のチューニング音程をルート音にしたkeyは、ギターにとってとても扱いやすいものです。ギターロックを聴いていると、曲のkeyとして特定のkey、E majorやA major、D major、さらにはG majorあたりが非常によく登場することに気づくと思います。これらのkeyはエレキギターを開放弦を活かした綺麗で押さえやすいコードで弾きやすいので、自然とギターらしい曲調になっていくように思います。たとえもしピアノで作曲する際も、keyに配慮するだけでギターロックらしさを出すことができます。

TIPS4「奏法をあらわす言葉を身につけよう(ストローク、等)」

ギターが弾けなくてもギターを活用するということは、もちろん誰かに弾いてもらう、ということです。弾けない楽器を、自分のイメージ通りに弾いてもらうには、どうすればいいでしょうか?

打ち込んだり、譜面にすることが考えられますが、これまで述べてきた通り、ギターはピアノと違うチューニングの構造をもち、ピアノで出来ること、簡単に弾けることであっても、そのまま完全に同じ音符を鳴らせるものではありません。そもそも、ピアノで押さえた音符の通りにギターを弾くというのは、ギターの良さをまったく活かせないやりかたです。

そこで、誰かに「こんなギターを弾いてほしい」と、言葉で伝えることが重要になってきます。そこで、TIPS4として、ギターの奏法をあらわす言葉を紹介していきます。これらの言葉の意味を理解することで、ギタリストに「ここはこういう風に弾いてほしい」ということを伝えられるようになるでしょう。

・ストローク

・カッティング

・アルペジオ

・リフレイン

当日、こういった奏法についてふれていきます。

 

TIPS5「音色をあらわす言葉を知ろう(オーバードライブ、等)」

ギターがピアノと大きく異なる点であり、そしてギターがシンセと非常に似ている点なのですが、電気信号の途中で信号に変換を加えることで、音色を変えることができます。(アコースティック楽器の特性と電気楽器の特性を両方持っているのは、エレキギターの大きな特徴ですね!)そこで、ギタリストに言葉で演奏のリクエストをする際には、TIPS4で紹介したような「奏法」だけではなく、「音色」が重要になってきます。

シンセサイザーの音色は、オシレータが発振する波形の種類によって、サイン波、ノコギリ波、矩形(四角)波などに大別され、それがADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)という音色の時間的変化と組み合わさって無限の変化をしていきます。では、エレキギターの音色は?

エレキギターの音色について考える際、軸となる重要な概念が「歪み(ひずみ)」です。(エレキギター用語では「ゆがみ」ではなく「ひずみ」と読みます)エレキギターはアンプなどで信号が増幅されることが音色の根本にあります。増幅がある一定の限度を超えると、音が飽和して「歪み」が生まれます。シンセのようなデジタル世界では歪みは絶対悪で、防がねばならないものですが、エレキギターはアナログ世界なので、ここで心地よい飽和(サチュレーション)が生まれてきます。エレキギターの音色は、どの程度歪んでいるかという大きな軸をもって考えるとわかりやすいです。

・クランチ

・オーバードライブ

・ディストーション

当日、こういった音色について解説していきます。

 

TIPS6「実際の楽曲で、セクションごとにどのようなギターが何本入っているかを知ろう」

当日はここで、実際にゲストの小木岳司さんが演奏されている楽曲のDAW画面を見せていただきながら、実際にギター演奏の仕事を頼まれた際に、どこに何本ギターを入れているのか、といった部分をお伺いできればと思います。ここは私も普段は発注する側なので、それを実際に録音されたDAWの画面は見ることがありません。楽しみです!

 

いかがだったでしょうか。ここで軽く前半での学びをまとめておきますね。

・エレキギターは生楽器と電気楽器の両方の特性をもつ

・チューニングの特徴や音が出る仕組みを活かすとギターらしい曲が作れる

・ギター用語を知ることで、ギタリストに正確に発注できる


という感じですね。

後半も、これらのことを頭におきながら読み進めてみてください!

それでは後半でまた、お会いしましょう。