「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

【今週末!】アレンジ(編曲)の「謎」が解ける90分〜「気軽にはじめるアレンジ講座  〜1年で編曲採用にいたるTIPS〜」

こんばんは、作曲家のペンギンスです。

DTMerのみなさん、作曲家のみなさん、そしてバンドマンやシンガーソングライター(SSW)のみなさん。


アレンジ(編曲)ってどうしてあんなにとっつきづらいんでしょうね?

・なんか音楽理論とか知ってなきゃいけなそうな気がする。
・なんか機材にお金かけなきゃできなそうな気がする。
・なんかあれだ、なんか無理なんだよ僕には私には(諦観)

このような事実に基づかない敬遠をされがちな音楽制作プロセス、それがアレンジです。

そんなアレンジの初心者が、2人で協力して勉強し成長しながら、たった1年でメジャーレーベルからのリリース作品の編曲を任されるようになったとしたら・・・その謎を解きたくはありませんか?

アレンジ(編曲)の「ありがちな誤解」を解き、「謎」だった部分をクリアにしてくれるアレンジ初心者向けの講座。それがこちらです。

peatix.com


7月11日(土) 16:00-17:30 オンライン開催
参加費は2,000円となります。(CWFメンバー/山口ゼミ受講中の方は無料)

講師の長沢知亜紀さん、永野小織さんについては、このブログではもはや説明不要でしょう。ゴールデンコーライトコンビとして活躍されているふたりの作曲家の、アレンジを始めてからメジャークオリティーに達するまでの、思考の軌跡をたどる貴重な機会です。

まだお席に余裕がありますので、皆様ぜひお申し込みください!

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最近買ったプラグインはValhallaVintageVerb

 

「作曲家という自由」を手にいれるために〜「山口ゼミ」夏期募集によせて〜

こんばんは、作曲家のペンギンスです。
夏といえばジントニック(年中言ってる。

作曲家っていいぞぉ〜、という話をします。

バンドマンもDTMerもSSW(シンガーソングライター)も作詞家も?ちょっと作曲家の世界をのぞいてみなよぉ〜、という話をします。

僕は昔ボカロP「PENGUINS PROJECT」として5〜6年にわたり音楽活動をしていたのですが、その頃の一番の悩みは「全部自分でやらなきゃいけない」「自分の、好きじゃないところまで世間に売り出さなきゃいけない」ということでした。

アレンジはおろかミックスまで全部自分でやる。自分の人格イコールのボカロPとして、賞賛も炎上も自己責任。売り上げは全部自分のもの。それは、もちろんサイコーに楽しいことでもあります。しかし、同時に悩みでもありました。

当時から作曲には絶対の自信がありましたが、編曲、特に最先端のビートメイキングとかが得意なわけではなかったし、ましてや歌えないし、ギター弾けないし、絵は死ぬほど下手だし、ルックスよろしくないし、服のセンスヤヴァイし、半端に歳食ってるし、これは同じボカロPとして到底ハチさん−そう、米津玄師さん-のような強いライバルには勝てっこないや。そう思ったものでした。自分の得意も不得意も飲み込んですべてをアーティスト活動に注ぐには、僕は中途半端過ぎました。

職業として作曲家をやる、というのは、感度の高いクリエイターの中では正直、今そんなにアツい選択肢ではないと思います。YouTuberになって全ての権利を自分で確保しつつ毎日動画をアップして大成功するとか、それこそボカロPや歌い手的な活動とか、はたまたInstagramerやTikTokerとしてインフルエンサービジネスで成功を収めるか。。。そういった道のほうが「イマドキで、時代をよく理解している」という風に映ることだと思います。実際そうだなぁと思います。

ただ人間は、時代がどんなに移り変わろうとも自由気ままに生まれ変わって人生やりなおすことはできません。人間には向き不向きがあり、それは時代の流れよりも逆らえないものだと僕は思います。僕が絶対的な自信を持てるのはライブステージでの輝きでもニコニコ動画での再生数でもインスタ映えするライフスタイルでもなく、ただ作曲だけでした。こういう人間って、もてはやされないだけで今も昔も絶対数は変わらないのではないかと思います。

そんなことを半分は論理的に、半分は感覚的にとらえて、「作曲家という職業にミニ・ジョブチェンジしてみよう」と思ったのが今からもう7年前のことです。その時に出会ったのが「山口ゼミ」でした。

実際に門を叩き、作曲家という世界に入り込んでみて、「これはイケる」と確信しました。なにせ「ヒットを目標にJ-POPを作曲する」という人生でいちばん得意なことだけをやっていればよいのです。どんなにYouTuberがもてはやされ、歌い手がヒットし、SNSと動画の時代になっても、だからそれに合わせて生きることができるかどうかはまた別の、個人の向き不向きの問題です。

作曲家という職業は、僕にとってきわめて自由な生き方です。自分の人間性ごと背負って生きていくアーティストにはなれなくても、作曲家として「昨日は可愛い女性アイドルの曲を書き、今日はイカツイ男性ラッパーの曲を書く」という風に無数の変化を毎日経験することは、ぼくにとって究極の自由です。作曲という得意技を通じて、何者にも変身することができることは、本当に幸せです。

僕と同じように「いやぁ、曲だけ書いて生きていたいよ」という人は感触でいうと、結構多いのではないかな、と思います。あなたのその眠っている作曲の才能が、一体どれほどのものなのか試してみませんか。

tcpl.jp

上記オフィシャルサイトにて「説明会の申し込み」と「受講そのもののお申し込み」の両方がそれぞれ別のリンクになっています。

説明会:7月11日 14:30-15:30
講座:7月25日〜9月20日(全5回予定)

みなさまの応募を心よりお待ちしております。

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セミナーご視聴ありがとうございました

こんばんは、作曲家のペンギンスです。

改めまして昨日は「30分で最高のメロディーを作る〜スピード作曲実況中継」にお越し頂きありがとうございました!

実際に30分で曲を仕上げていくプロセスはとても刺激的で、私も改めて身の引き締まる思いでした。

 

さて、本日はTD@prime sound studio formさん。

コロナの影響で久々のリアル立ち合いTDでしたが、やっぱりスタジオのモニターでデカい音で自分の曲を聴くのは最高ですね!

この曲は来月には世に出るので、お楽しみに!

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コーライトおやつシリーズ復活!

こんにちは、作曲家のペンギンスです。
蒸し暑い季節になってきましたがいかがお過ごしでしょうか。
今年はマスクもつけなきゃだからしんどいですね。

さて、このブログを古くから愛読されている方は、はるか昔に「コーライトおやつシリーズ」という独断と偏見にまみれたコーナーがあったことを覚えていらっしゃますか。
「コーライト中に食べたいおやつ」という無理のある設定で単に僕が好きなスナック菓子を紹介するというどうでもいいコーナーでしたが、最近そのコーライトおやつのラインナップに新たなメンバーが加わったのでご紹介したいと思います。

こちらです!
ブルボン「ミニビットアソート」!

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はい。正直ブルボンさんには申し訳ないんですが地味きわまりない一品です。
ひとくちサイズのチョコが5種類詰め合わせ(アソート)になっているという商品名の通りのパックで、コンビニやスーパーなどで普通に売られています。

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なかは個包装でこのようになってます。

とんでもないほどに普通の商品で(失礼)、とりたててなにが変わっているというわけでもないんですが・・・

そこがいいんです。

曲に集中したいじゃないですか?食べ過ぎもよくないじゃないですか?個包装で、手元に未開封で2,3個ころがしておきたいじゃないですか?

ちょうどいいんです・・・

とりたてて個性はないけど、しっかりと生活を支える、こんなチョコのような音楽も僕は結構好きで、個人的によく聴きます。

こういう縁の下の力持ち的なお菓子も応援して行きたいな、という気持ちにさせる一品です。

お買い求めはこちらから。 

ブルボン ミニビットアソートFS 165g

ブルボン ミニビットアソートFS 165g

  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: 食品&飲料
 

 

さて、かなり雑談を書き連ねてしまいましたが、今週土曜日にこんな私が講師をつとめるZOOMオンライン講座が開催されます。

peatix.com

6月27日 13:00-14:30@ZOOM
講師:ペンギンス
「30分で最高のメロディーを作る〜スピード作曲実況中継」

です!
「良いメロディーほどすぐ書ける」というコンセプトのもと、メロディーを早く書ける=良いメロディーを書くためには「どのようなものの考え方をすればよいのか」「実際にそれはどのような感じなのか」ということを理解していただくための、普遍的かつ実践的な内容となっております。30分の講義のあと、実際にみなさんの目の前で30分で1曲作ってみたいと思います。楽しみです。

 

おかげさまで結構席が埋まってきているので、お早めにお申し込みされることをオススメいたします!


どうぞよろしくお願いします!!!

「仮歌外注」と「コーライト・イン」どっちがいいの?

おはようございます。作曲家のペンギンスです。
毎日暑いっすね・・・
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さて、ここのところ「仮歌発注の注意点」「仮歌に求めること」など、仮歌シリーズが続いていますが、シンプルに、反響が大きいからです笑。割と曲作りに関する精神論というか、文化とか戦略がどうとか、そういうことを文章にするのか元々は好きなのですが、結構みんな具体的なノウハウみたいなところを求めてブログを読んでくださっているんだなというのがここ最近わかってきて・・・なので、なるべく具体的なことも増やしていきたいなと思っています。

さて、コーライティングをテーマにした日本で唯一のブログ、と名乗って3年近くブログをやっていますので、あくまで歌に関しても「コーライティングにおける歌」という観点で考えていきたいと思っています。そこで、今日とりあげたいのがこのテーマです。

 

シンガーは、「仮歌さん」としてギャラを支払うのと、「コーライトイン」でクレジットに入ってもらうのと、どっちが良いのだろう?

 

まず、上記の文章が言ってる意味がわかんねぇよ、という声が聞こえてきたので、その説明からしたいと思います。

J-POPの作曲家が曲を完成させ、それをクライアント(ディレクターやプロデューサー、アーティスト本人やタイアップ先等)に聴いていただくためには、メロディーと歌詞だけでなく、それを実際に歌ってくれる人が必要です。ターゲットアーティストが歌っている完成版が目に浮かぶような、クオリティーが高くて方向性が似ている歌が必要です。これまで、その歌声を手に入れるためには2つの方法しかありませんでした。

1.作曲家が自分で歌う(シンガーソングライターの方などはこれが可能)
2.仮歌さんに「仮歌代」というギャラを払って歌ってもらい、歌のテイクを買い取る(以下「仮歌の場合」と呼びます)

この2つです。しかし、コーライト時代を迎えて、ここに新たな発想が生まれました。それが3番目の、

3.仮歌さんに、シンガーとしてコーライト・イン(コーライティングに参加)してもらう。仮歌代は払わないが、その代わりコーライトメンバーの一員になるので、著作権の一部を持つことになる。(以下「コーライトインの場合」と呼びます)

おおーなるほど。大きな違いだっていうことはすぐわかりますね。

では、仮歌の場合と、コーライトインの場合に、どんな違いがあるのかについて考えてみましょう。ここで大切なのは、その曲に関係するいろいろな人の立場になって考えてみることです。立場が変われば、受け止め方も変わりますからね。今回は考えるにあたりまず「A.経済的な切り口で考える」「B.音楽的な切り口で考える」という2つのアプローチにわけてみたいと思います。さらにそれぞれの切り口において、関係する人々の、3つの立場・・・つまり「クライアント(ディレクター、プロデューサー)」「シンガー本人」「作家(チーム)メンバー」から見るとどうなのか?という点を想像していきたいと思います。

A.経済的な切り口で考える

1.クライアント(ディレクター、プロデューサー等)

まずはお客様第一なので、お客さんの立場から・・・となりますが、多分めちゃめちゃどうでもいいと思います。「とにかく案件にバシッとハマった、良い曲を提供してくれて、コミュニケーションもスムーズで仕事も速い、そんな作家(チーム)であればそこにシンガーがいようが、仮歌が外注扱いになろうがどうでもいい」というのが正直なところでしょう。その通りだと思います。なお、仮にdemoの歌がクオリティーが高いと、コーラスパートの仮歌テイクを買い取らせて欲しい、と仰っていただくケースがたまにあります(アーティストさんの歌と一緒にMIXして本番テイクとして使うため)。この場合買取料としてギャラをいただくことになりますが、仮歌の場合もコーライトインの場合も、その歌を歌った本人が直接ギャラを受け取るだけなので、そこに差はないです。
「仮歌かコーライトインか」というのは、あくまでクリエイター側の事情であるということがわかりますね。

 

2.シンガー本人

次にがんばって歌ってくれるシンガーさん本人から見ると、どうでしょう?これは一長一短があります。

まず仮歌の場合のメリットとして「仮歌代としてギャラをもらえるので、妥当な金額設定をすれば確実に歌ったことの対価を得て黒字になる」というのは重要ですね。シンガーさんもプロとして仕事で歌う以上、「歌って何ももらえない」というのは困ります。
いっぽう仮歌の場合のデメリットとして「めでたく楽曲が採用されて、リリースにこぎつけても、特に何も成果報酬は得られない。さらに言えば、その曲が大ヒットして作家(チーム)が高額の印税を得たとしても、何も追加のお金は入ってこない」ということがあげられます。

次にコーライトインの場合のメリットとして、なんといっても「著作権の一部を、ほかのメンバーといかなるときも必ず等分で(→ここ重要)持つことになるので、楽曲が大ヒットした場合、作家(チーム)の一員として高額の印税を得るチャンス、権利がある」というのが大きな魅力ですよね。収入の上振れ要素があるというのは良いことです!
いっぽうコーライトインの場合、直視すべき現実として「報酬は印税の形式となるため、採用されなかった場合には報酬はゼロ。歌ったことの労力を考えると赤字」というデメリットというか、リスクもあります。歌ってもギャラがもらえない、という点はおさえておく必要がありますね。そして、我々作曲家の仕事の現実として、かなりのヒットメーカーでもプロ野球選手同様、3割ヒット(リリース)なら一流といったところではないでしょうか。これは直視すべき現実だと思います。

 

3.作家(チーム)のメンバー

次に作曲家から見ると、どうでしょう?これも一長一短です。

まず仮歌の場合、メリットとしては「お金で歌を買って、プロの歌を納品してもらい、曲の権利はソングライターとして自分(たち)が確保する」ということができます。正当なギャラを払ってるのだからちゃんと歌ってもらいますし、その曲がすぐれていればヒットの印税は自分(たち)のもの、ということで、これはまあわかりやすいです。
いっぽう仮歌の場合、もう書くのもめんどくさいほど当たり前ですが仮歌代が結構かかります。僕がお願いする方だと昔は3,000円なんてこともありましたが、やはりクオリティにこだわるようになると5,000円からという感じでしょうか。ワンハーフでメインがダブル、ハモりも多くてウーハモ、追っかけ、掛け声もあるなんていうと1万円前後になるケースもあります。年間100曲をコーライトで完成させている私としては、マジでバカにならない金額になります。チームにシンガーがいたりする場合も相当増えましたが、それでもここ数年の確定申告を見ると年間の総額で30万円前後を仮歌さんに払い、それをチームで割り勘(わる3とか)しているという感じですね!

次にコーライトインの場合、メリットとしては経費がかからないです。もう上に書いてあることの、そのまんま逆ですね。
いっぽうコーライトインの場合、デメリットとしては(これをデメリットと考えるかは色々深い問題ですが)著作権のひとりあたまの持ち分が減ります。つまり、採用された場合の印税が減ります。大型案件でめでたく採用!となったことを想像すると、地味に大きいですねこれは。

ここで是非考えておきたいのが、コーライトチームでおそらくは一番直接の作業負担が大きいトラックメーカーの気持ちです。アレンジも含めた採用となれば、トラックメーカーはアレンジャーとして編曲料を受け取りますので、まとまった収入になります。それで報われているといえばそうなのですが、やはり大型案件の収入が減って一番「言葉にはしないけど複雑な心境になる」のはトラックメーカーだと思います。なので、シンガーをコーライトインで、という場合、トラックメーカーがそのことに納得してくれているかどうかは、特に重要だなと思います。

B.音楽的な切り口で考える

 1.クライアント

これも多分どうでもよさそうです。結果が大事なので、良い歌だなぁと思ってくれればそれでOKですよね。音楽聴きながら「さすがシンガーがINしてると、歌が違うわあ・・・」という人は(たぶん)いません。 

2.シンガー本人

次にシンガーから見た場合。

まず仮歌の場合、悩まなくていいというのは大きいみたいです。「メロディー、歌詞は決まっていて、歌い方も指示があり、ハモりのラインも決まってる。とにかくこれを正確に歌う」という仕事はシンプルでありスピードも速く対応できます。
いっぽうで仮歌の場合、どうしても作家(チーム)とは別の存在になりますので「このメロディーはもうちょっとだけ変えるとグッと歌いやすいんだけどな」「掛け声を追加で思いついたけど、入れてしまってよいものか」といった部分は音楽のためだけに親身になって考える余裕はあまりないと思います。

次にコーライトインの場合、その曲をよくするために究極、なんでも言えるしなんでも変えられるというのは音楽を大切にするマインドとしては非常に望むところですよね!作曲家本人が歌えない人(ぼくとか)だったりすると、シンガーの観点から「このメロディーはちょっと・・・変えてもいいですか?良い案があるんです」とおっしゃっていただけると非常に嬉しいです。シンガーのリアル、ステージに立ってる人間の実感を、曲にこめられたら、曲は間違いなく強くなります。同じことが歌詞にも言えるし、特にとても若いシンガー(アーティストやアイドルと同い年とか)に歌詞のちょっとしたフレーズに違和感を感じてもらえたりしたらもう最高です。コーライトインなら、いくらでも一緒に直せますからね。 
いっぽうでコーライトインの場合、これはまあ、上で書いた素晴らしい点の逆のことを言うだけですが、ケミストリーが起きずただ歌うだけなら「なんでシンガーをコーライトインしたんだよ」となりますよね。職人的にうまい歌を歌ってくれた、それはありがたいけど、著作権のクレジットに入るほどのことか・・・?なので個人的には「シンガーならではの、理論じゃなく体で感じた良きハモり」をつけてくれたりすると感動もひとしおですね・・・。

3.作家(チーム)のメンバー

最後に作家から見た場合。

まず仮歌の場合、作曲家として歌詞やメロに絶対の自信があれば、仮歌外注で正確に歌ってもらうに限ります。この場合は仮歌さんに職人の仕事に徹してもらうのがいいんじゃないでしょうか。ケミストリーとかじゃねえ、俺を聴け、と笑。
いっぽうで世界観は広がりませんよね。僕の場合、得意分野ほど仮歌さんに外注で頼み、苦手分野ほど「その分野を得意とするシンガーの方に、いろいろアイデアを助けてほしくてコーライトインでお願いする」というケースが多いかもしれません。

 

いかがでしたでしょうか。経済的な側面から考えること、音楽的な側面から考えること、その両方が必要ですね。そして自分だけでなくほかのコーライトメンバーはどう思うか?(特に、トラックメーカーはどう思うか?)、シンガーにとってはどうか?と相手の立場にたって考えることも必要だとわかりました。

 

これまでの議論をまとめた上で、最後にいきなり全然違う、けれど多分一番重要な視点を提示して、このエントリを終わりたいと思います。それはこの「相手の立場にたって考える」ことに含まれているのですが、相手のポリシー、特に、シンガーのポリシーを尊重することが、これまで述べてきたどの観点よりも大事である、ということです。

シンガーも、作曲家も、音楽を表現する、音楽をつくるという意味でクリエイターであり表現者です。そういった職業にある者ならば、誰もが多かれ少なかれ「自分のポリシー」を持っているものです。

例えばプロの仮歌シンガーとして、高額のギャラをもらい、日々多数の歌を仮歌として歌って生計を立てている人がいたとしたら、この人にとって「仮歌を外注で請ける」というのはひとつのポリシーだと言えます。この人に「クレジットの一部に入って印税がもらえます」といっても、それは魅力的でしょうか?「仮歌で食ってるんだから、ギャラをくれ」と思うのではないでしょうか?それはそれで立派な考え=ポリシーであり、尊重されるべきだと思います。

いっぽうでシンガーソングライターとして個性的な活動をしている人の中には、「私は外注の仕事をうけているんじゃない、自己表現をした結果で評価されるんだ」というポリシーの人もいます。この人にとっては「ギャラ高くするんで急いで歌ってもらえませんか」というのは自分の生き方にそぐわない行為です。「ギャラはいいから、ひとりのソングライターとしてこの曲の仲間に入れてほしい。歌でこの曲の魅力を引き出せるから、クレジットに入れてほしい」と思うのではないでしょうか。これもまた当然立派なポリシーであり、尊重されるべきだと思います。

このようにポリシーというのは原理的に経済的事情よりも上位にくるもので、なおかつポリシーを尊重してこそ音楽的な輝きが生まれるので、経済・音楽の切り口よりもポリシーが最終的には一番優先されると僕は考えています。なので、さんざん書いてきましたが、実は僕の場合、仮歌扱いにするかコーライトインしてもらうかは、ほぼ「シンガーが誰か、その人のポリシーはどうか」で決めてしまっています。両方のケースがある人の場合だけ、まず音楽的にどちらが素晴らしくなるかで判断し、最後に経済的事情を斟酌して決めているという感じです。

シンガーのみなさまや、作曲家のみなさま、というか区別なく、音楽に情熱をそそぐみなさまの参考になれば幸いです。

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最後になりますが告知だけ失礼させてください。
6月27日に、こんな僕の「作曲のスピード」をテーマにしたオンライン講座が開催されます。ZOOMで作曲のスピードはどうやったらあがるのか、そして「良いメロディーほど早く書ける」という持論をご説明したあとに、実際に30分で1コーラスのメロディー・コードを仕上げ、そのあとみなさまからの質問に答えます。ぜひ、お申し込みいただければ幸いです。気合い、入ってます。

6月27日 13:00-14:30@online
「30分で最高のメロディーを作る〜スピード作曲実況中継」
講師:ペンギンス

申し込みはこちらから↓↓↓

peatix.com

よろしくおねがいします!!!

ながなが講座続編。「気軽に始めるアレンジ講座〜1年で編曲採用にいたるTIPS〜」

こんにちは、作曲家のペンギンスです。

さる6月14日は「たったひとりに伝える。 コンセプトから始める作曲講座」に多数のかたにお越しいただいたようで何よりです。なんと70名もの方にお申し込みをいただいたようで、大盛況でした。

さて、その講師2名「ながながコンビ」による講座が来月またあります!

お申し込みはPeatixからとなっておりますので、ぜひよろしくお願いします。↓↓↓

peatix.com

こちらの講座ではアレンジ初心者だった長沢・永野のふたり(ながながコンビ)がわずか1年後にはアレンジを含めて採用いただきリリースに至るまでの、努力と工夫のTIPSを教えてくれるそうです。

アレンジ、それからミックスと呼ばれるような曲作りの具体的なプロセスについては、ネットに具体的な情報があふれているものの、あまりにも情報が多すぎて逆に何をしたらよいかわからないといった面もあると思います。また情報発信者のレベルによって内容が正反対であったりすることも珍しくなく、ひとりひとりが自分にあった情報を得ることが難しい状況です。

今回の講座では「アレンジャーとして楽曲採用に至るまでのTIPS」という明快な切り口から、何をすべきか、何が必要かといったことを話してくれると思いますので、迷える皆様の軸になれば幸いです。

ぜひ申し込みをお待ちしてます!

作曲家が仮歌さんに求めること

こんにちは、作曲家のペンギンスです。

先日の仮歌発注の注意点まとめが大変反響が大きかったです。作曲家が注意しないと、仮歌さんは大変な思いをするんですよね・・・。作曲家のみなさん、気をつけましょう!

いっぽうで、仮歌さんが歌ってくれたテイクを受け取って頭を抱えるという経験も、作曲家のみなさんはままあるのではないでしょうか。今日は逆に、作曲家が仮歌さんの歌に求めること、という切り口でいろいろ考えてみたいと思います。

作曲家が仮歌さんに求めること

1.声が出てること

んなあほな、という感じですがまずはこれです。なぜならしっかりと声が出ていればそこからある程度のエディット(ピッチ・リズム等)をしたり、何らかのミックス・演出をほどこすことは可能ですが、出てない声は作れないからです。気持ちよく腹から声が出てて、歌詞が聞き取れる・・・基本ですが常に忘れてほしくない点ですね。
これ、ウィスパーが欲しいですとか、シャウトが欲しいですとかの時も例外ではなくて、ウィスパーであっても確実に「出てて」ほしいです。先ほども書きましたがしっかりと声が出ていればどんな小さいウィスパーであってもいくらでも増幅できますが、出てない声はボリュームあげられないので・・・。シャウトもそうですね、歌詞(シャウトの内容)はさすがに聴こえたいな、と思います。

2.いい声であること

あいまいな、という感じですが次はこれです。これも1番と一緒で「あとから作れない」からです。いい声かどうかは主観もあるので2番目にしましたが、魅力的な声で歌われると曲は何倍にも魅力的に聴こえますので、ぜひいい声の方に出会いたいなと、いつも思っています。
なお、勘の鋭い方はお気づきかと思いますが、どんな声が「いい声」なのかは、案件によって異なります。アイドルならば男女問わず若くてフレッシュな声、いわゆるディーバ系ならばとにかく本当にうまい人。個性的なシンガーならその声に(ある程度)自然に似ている声が好ましいですね。なので「いい声であること」すなわち、「案件に合った、ターゲットのアーティスト(アイドル)らしい声」ということですね。

3.リズムが正確であること

このへんから具体的な要素が強くなってきますね。歌のリズム感はとても重要です。個人的な所感ですが、滑舌が良いということも(ある意味)この「リズム」に含まれるかもなーと思います。リズムが正確だと、歌詞は伝わりやすいし、メロディーも当然、意図どおり気持ちよく聴こえますね。
なお、ピッチとリズムだと断然、リズムを優先してほしいです(もちろん両方よくなきゃだめですが)。これは音楽の本質としてリズムのほうがより揃っていて欲しいというのもあるし、現実的な事情としてMelodyneではリズムよりもピッチのほうがまだ修正しやすいと思います。
それからこれは個人的な基準なのですが、「ハネもの(スウィングしているリズム)をうまく歌えない人はちょっと・・・」という気持ちがあります。これ、歌がうまい・へたとはちょっと別で、まれに一定確率で「スウィングができない人」というのが存在します。そういう人にハネてる曲を間違えて発注してしまうと、根本のリズム感がスクエアなので、すべてのテイクがまったく使えません。直す直さないの問題ではないんです。これは別の人に発注をやり直すっことになり、相当のトラウマになるので、僕は過去ハネてる曲が歌えなかったために疎遠になってしまった仮歌さんもいます。まあ、今そういう方に出会うことも減りましたが、僕の曲がハネものが結構あることもあり、個人的にはとても重要視しています。

 

4.ピッチが正確であること

これは、やはり大事です。Melodyneでかなり直すことができるので、優先順位はあえて下げましたが、ピッチが正確な歌がやっぱり一番気持ちいいものですよね。多分ピッチに関しては皆さんもちろん意識して歌ってくださっているとは思うのですが、何人かの方がおっしゃっていたのが、「自分でDAWの画面で自分の歌を修正するようになったら癖に気づいてより正確に歌えるようになった」ということ。これはなるほどなと思います。僕も仮歌さんの歌をMelodyneで直しながら「おお、XXさん名物の下から当てる感じだな笑」とか「YYさんはまたちょい上で浮遊してるな笑」とかいつも個性を感じながら作業しています笑。それを自分の歌に対して感じることで、目で見て客観視ができるというのは、確かにシンガーの大きな成長になるかもしれませんね。

5.人間味があること

これは3番(リズム)や4番(ピッチ)と決して矛盾するものではないです。「自然に歌えていること」と言い換えてもいいかもしれません。メロディーを書いた側が無意識に期待している「このあたりで強く歌う」「このあたりで抜いて歌う」という音楽の起伏のようなものをくみとってくれるかたは男女問わずとてもありがたいです。ディレクションとして書いて指示するべき内容とも言えるのですが、そうはいっても何から何まで感情を指定するのもお互いにとって面倒なものです。ある程度歌うシンガーご本人の感覚を信じて委ねることで、良い歌を引き出したいという気持ちもあるので、そこが任せられるかただと心強いです。

6.とっつきやすいこと笑

大事ですよ!!!笑 仮歌さんも受注するとき色々緊張とかストレスもあるとは思うんですが、発注するこちら(作曲家)も何かと気を遣いながら発注はしています。「短納期になっちゃって、申し訳ない」「今忙しいかな」「最近体調悪いのかな、大丈夫かな」とか考えながらメールを送ります笑。なのでどんなときでも早めのレスで元気に返事がかえってくると、たとえそのときスケジュールNGでうけていただけなかったとしても「ああ、また困った時には声かけよう」と思うことができます。


7.録り音が綺麗で加工されておらず扱いやすいこと

歌が良くても、肝心の録音されたテイクが以下のような状態だと、ちょっと困ってしまいます。

・入力レベル(波形の大きさ)が小さ過ぎて、S/N比(ノイズの比率)が大きく、音質が悪い
・入力レベルが逆に大き過ぎて、割れてしまっている(デジタルクリップ)
・コンプレッサー等のエフェクターがかけっぱなしの「かけ録り」状態になっていて、あとから取り除くことができない

上から順に。まず入力が小さいというのは波形をみればわかります。DAWの画面で見て、拡大しないとみえないくらいに波形が小さい場合は、入力レベルが小さすぎることが考えられますので、インターフェース等である程度入力レベルをあげてください。逆に入力レベルが大き過ぎというのも困ります。判断基準としては、やはりどうしても生歌は瞬間的にピークが来るときもあるので、サビで一番声を張る箇所でも、波形はDAWの画面でトラックの波形表示の半分くらいのところで抑えておいていただくと非常にありがたいです。(僕も昔気づかなかったのですが、波形上ではみ出していなくてもクリップしていることはあります。入力レベルが大きいほうが音質がよくなる、というのは確かにその通りなのですが、実務上ではデジタルクリップで全テイクとりなおしになることのリスク、手間を考えると、ある程度入力レベルには余裕をもっておいていただきたいなという感じです。(ノイズは収録環境により左右されることのほうが大きいので・・・)
かけ録りについては、仮歌仕事に慣れていないかただったりすると、無意識のうちにオーディオインターフェース側でオートコンプ的なものがかかる状態でお仕事をされてる方もいらっしゃるようなので、お気をつけください。(ナレーションや配信などをメインにされてる方だと、その設定がむしろ良かったりすることもあるようなので、音楽の仮歌の仕事をされる際にお気をつけください)

いかがでしたでしょうか。音楽的なこと、そうでないこと、いろいろと申し上げましたが、仮歌さんが歌ってくれないと作曲家の描いた音楽は世に出ないことはまぎれもない事実です。感謝しております。

仮歌のみなさん、どうぞこれからもよろしくお願いします!

なお、こんな私が講師をつとめる作曲の講座が6/27にオンラインで開催されます。作曲で食べていきたい、という方には2,000円でも安いと断言できる内容でご用意しておりますので、ぜひお申し込みいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
お申し込みはこちら↓↓↓

peatix.com

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