「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

自然とのコーライト〜映画「Ryuichi Sakamoto: CODA」

 こんにちは、作曲家のペンギンスです。
 恵比寿ガーデンシネマで公開中の映画「Ryuichi Sakamoto: CODA」を観てきました。

ryuichisakamoto-coda.com


 タイトル通り坂本龍一さんのドキュメンタリー映画で、YMO時代の貴重な映像やラストエンペラーのサントラ収録風景と映画本編のオーバーラップなど教授ファンにはたまらない映像の連続です。
 特にフィーチャーされているのが最新アルバム「async」のレコーディング風景で、そこではNYの自宅で雨だれの音を収録したり、シンバルをバイオリンの弓で鳴らしたり、さらには森の中に捨てられているゴミを叩いたり、北極圏で水の音を録音したりして音楽を作っている姿が映っていました。
 僕がそこから感じたのは大気中に微量に含まれるユーモアの成分と、映画全編に漂う不思議な「co感」でした。co感。映画は終始教授の身辺に密着しているので、画面に映る人物はほとんどが教授オンリーなのですが、不思議と「ソロアルバムを作っている」という「孤独感」のようなものが無いんですね。
 DAWの画面を見ながら、世界中で録ってきた環境音を鳴らしてアナログシンセの演奏と混ぜて時々ニヤッと楽しそうに笑う教授を見ていると、なんだか音と対話しているみたいでした。キザな言い方をすると氷河の溶ける音とか雨だれが窓を打つ音とコーライトしているんだなと思いました。自然とのコーライトが成り立つ以上、音楽の原風景は全部coだよな、と思った1時間50分でした。
 YouTube予告編のサムネイルになっているバケツを被って自宅の庭で雨に打たれながらバケツの音を聴いている教授はとても素敵です。皆様是非。


11/4(土)公開『Ryuichi Sakamoto CODA』予告編