「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

コーライトって、地方でもできるの?

 こんばんは、作曲家のペンギンスです。写真は今年の夏に行った北海道の支笏湖です。いやぁ北海道めっちゃ良かったです。今ごろ厳しい冬を迎えているのでしょうが冬の北海道もいつか行ってみたいです。
 前回のエントリ「何書こうかな・・・」にFacebookなどで多数のご意見をいただきました。その中で「音楽のクリエイター的な人たちってリモートワークできるんですか?地方移住興味あったりします?」という質問をいただきましたので、それに応える形で「このブログのテーマであるコーライトは、地方在住でも可能なのか」というテーマで書いてみたいと思います。

 結論から言うと、地方だろうが海外だろうがコーライトは全然できます。もちろんスウェーデンとかLAみたいなコーライトの本場をこの場合地方とは呼ばないと思うのでそれは別の話に譲りますが、日本の都市圏以外の地方の町とか、海外のそこまで音楽シーンが盛んでない国や地域であっても、そこに住んでいる人とコーライトはしょっちゅうしています。僕の経験だとまず師匠である音楽プロデューサーの伊藤涼さんが長野に住んでますし(笑)、CWFメンバーにも名古屋関西は当然のこと、台湾のメンバーとコーライトしたこともあります。作詞家さんは特に地方・海外在住が多いです。ラスヴェガス在住、LA在住の方とコーライトしたこともありますし、仮歌さんだとさらにLAそしてNYからデータを送ってくださった方もいます。
 地方でもできる=インターネットを介したコミュニケーションで制作を進めるということですが、これはもう東京支社と大阪支社でネットでやりとりするようなもので、もはや言うまでもなく当然のように可能です。ただ、ここでは一歩踏み込んで「じゃあそのコーライトが本当にクリエイティブであるためには、本当にネットだけで完結していいのか?」というあたりを考えてみましょう。
 僕が思うに、地方・海外在住でのコーライトがうまくいくためには、2つの点に限っては「実際にコーライトする人と会う」ことが大切かなと思っています。「1・自分のキャリアが浅い時期」そして「2・初めてコーライトする相手」の2点です。
 1に関して言うと、何事もそうですがキャリアが浅い、駆け出しの時期にはクリエイターとしての未熟さをコミュニケーションやフットワークの軽さで補わなければならない時期があると思うんですね(僕もまだその時期であると思っています)。この場合、地方に住んでいて全てのやりとりはメッセですLINEです、というよりはやはりコーライトメンバーの出ているライブを観に行ってそこで楽屋に顔出して音楽談義する、とか知人のツテを頼ってイケてるアレンジャーと知り合いになってその人の家でコーライト、からの飲みに行く。そういう泥臭い付き合いが功を奏するんじゃないかなと。僕は電話という手段は正直かなり苦手なんですが対面コミュニケーションはかなり重要視していて、「会って話しましょう」「飯食いましょう飲みましょう」は価値のある行動だと思っています。そしてこれは初心者若手ほど有益だと思います。
 次に2。「初めてコーライトする相手」これはたとえお互いに十分なキャリアがあっても、やはり初めてコーライトする時には面と向かって話をしたことがある、ないという差は大きいのではないかと思います。なので地方の方ほど、東京などで開催されるコーライティングセッションに顔を出して、そこで色々なクリエイターと「初対面の雑談」をしておくことをおすすめします。一気にそこで「面と向かって話をしたことがあるリスト」の人数が増えれば、その人たちとは円滑なコミュニケーションが取れるのではないかと思います。
 なのでもう一度結論を書くと「当然ネットを使えば地方でも海外でもコーライトは自由にできる、でも駆け出しのころはコミュニケーションは密に取ったほうがいいしフットワークも軽い方がいい、キャリアを積んだ人でも初対面の人なら同じことだよね」という感じでしょうか。

 最後に、コミュニケーション以外の点で音楽制作における都会と地方のメリットデメリットのお話を少しだけ。
 神奈川県真鶴町でよくキャンプでお世話になるのでわかるのですが、静かな森の中とかで制作できる喜びは何ものにも代えがたいです。都会に慣れてしまうと気づかないのですが、都会って地味に何かしらの人工音が常にしているんですよね。それが地方の自然の中に行って途絶えた時に、本当に静かな環境でワクワクします。「ああ、静かだなあ」という喜び。これは本当に大きい。あと空気が綺麗飯がうまいというのも滞在したときの喜びなのはもちろんです。
 いっぽう都会なんですが、やはり映画観に行くぞコンサート行くぞというのが簡単にできるというインスピレーションの元がいっぱいあるのは良いですよね。あとそれ以上に感じるのは「機材がぶっ壊れた時に、大手の楽器屋に数時間で買いに行ける」これは地味にでかいです。Amazonで良いじゃないかという向きもあるでしょうが、意外と、意外と、「本当にこれじゃなければダメという型番をドンピシャで当日届けてくれるか」というとまだまだECはそういうものじゃなかったりします。あとなんだかんだ馴染みのベテラン店員さんに連絡取って、「それならこっちの機材のほうがいいですよ」なんてアドバイスももらいつつ急いで渋谷のRock oN Companyにというのが可能なのはピンチの時には心強いです。なので「創作には地方、制作には都会」という感じでしょうか。

 以上です。

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北海道・支笏湖(2017年6月)