「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

出先での「iPhoneからの音源チェック」どうしてます?

こんにちは、作曲家のペンギンスです。

作曲家の仕事をしていると、今すぐ急いでこのデモを確認しなければ、、、ということがよくあります。ひとりで作ってる場合は仮歌さんのテイク確認とか人のデモ聴いて相談に乗るくらい?ですが、コーライティングの場合は相手がいるので特にこの「出先での音源チェック」が問題になります。判断が遅れると相手を待たせることになるから帰宅してからでは遅い、だけどこちらは外出してるから正確なスタジオ作業時のモニターでは聴けない、というわけですね。

曲作りの初期段階、全体のイメージやメロディーの良し悪しが大切な段階では音質にそこまでこだわる必要がないのでスマホのイヤホン(AirPods Proなど)で十分ですが、ミックス段階に入って細かなニュアンスを確認する、という段階でそれを出先でやるのは、それなりにコツがいるなあと感じた今日この頃です。

なるべく自宅でチェック可能なスケジュールで制作、コーライト出来ればベターであるとして、さてともかく実際問題として「外出中にチープな環境で今すぐミックス方面のチェックをしなければならない」としたら、どんなコツがいるのかを考えたいと思います。

f:id:PENGUINS_PROJECT:20210606072134j:image


【普段からイヤホン「でも」チェックしてみる】
これが結構大事だなと思いました。結局イヤホン等のチープ環境でチェックして何が問題かというと「正確に確認できない」ことなわけですが、じゃあなんで正確に確認できないのかと考えると「普段と違うから確認できない」という話に言い換えられるんですね。「この聴こえ方は普段のモニター環境だったら、どう聴こえるのだろう?わからない・・・」となっているから外出先で困るわけです。
ということは「普段からモニター環境+チープ環境の両方でチェックする習慣をつけておく」ことによって、チープ環境でこう聴こえる場合、モニター環境ではこう聴こえる、という変換式のようなものが耳に備わってくるわけですね。これがあれば、ある程度チープな環境でも「これはきっとモニターだとこう聴こえるな」という脳内変換が可能になります。
事実すぐれたトラックメーカーを見ていると、海外などで最高のモニター環境で爆音で音楽を聴いた日々があって、帰国後に今度は同じ曲を日本の住宅事情の中で小さな音で鳴らすことで脳内変換式が成り立ったから、「チープな環境でも耳の下のココが震えたらローがちゃんと出てるからOK」みたいなw、その人なりの変換式を持ってるケースがあります。


【良いイヤホンを用意しておく】
めちゃくちゃシンプルなのきました笑。ベストは尽くしましょう。良いイヤホンならばだいぶチープ環境をチープ環境なりに向上させることができます。ちなみに私は長年にわたってSONYのMDRシリーズというイヤホンを使っていましたが、ある日Air Pods Proを耳に入れてしまったのが最後、もうAir Pods Proと一生生きていく覚悟です笑。イヤホンについてはワイヤレスに一度変えてしまうともう二度とワイヤードなやつは使えません。断線問題もないしワイヤレスに限ると思います。


【何をチェックしたいのか意志を明確にしてから聴く】
「普段から」とか「機材選び」とか、「そもそも論」が連続しましたが、今すぐ今日からできる行動面での変化といえばこれじゃないでしょうか。音源チェック、という時に「なんのためにチェックするのか」「具体的に音楽のどこをチェックするのか」ということをハッキリ意識して聴くことが大切ということですね。たとえば「ミックスチェックの時はまずボーカルに集中する」とか、もっと具体的に「歌詞が全部聴き取れたらOK」とか、「ダンスミュージックのkickは単体で聴きとれたらOK」とか、「リファレンスと続けて聴くことを必ずする」とか、なんでもいいです。自分なりにルールを持って、どんな時でもここは外さない、というチェック項目を頭のなかに持つと良いと思います。


【フィードバックする時には相手に「出先でこういう環境で聴いたのですが」とひと言添える】
そして最後にコミュニケーション論になります。自分がチープ環境で聴いている場合、コーライト相手にそれが伝わるように一言付け加えておくと親切だなと思います。「すいません今出先なんでちょっと一旦iPhoneで聴かせてもらったんですけど、これだとボーカルがちょい小さいかなと思いました。そちらの環境だとどうですか?」みたいな。相手もこちらが出先で聴いているとわかれば「iPhoneでそう聴こえるってことはモニターだとこれこれこういう風に聴こえてそうだな」みたいな、それこそその人なりの変換式にかけてくれますので、こちらの言ったことを誤解なく相手に伝えられると思います。

いかがでしたでしょうか。再び外出することも増えてくるであろう今後、改めて「出先で音源をどう聴くか?」について、ひとりひとりがマイルールを持てるとよいですね。

f:id:PENGUINS_PROJECT:20210606102807j:image