「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

コーライトで役立った会社員生活の経験vol.2「プロジェクトマネジメント」

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こんにちは、作曲家のペンギンスです。写真は数年前に清澄白河の東京都現代美術館でミシェル・ゴンドリー展を見たときのものです。ビジネスっぽい写真で秘密保持に触れないものを探したらこうなりました。現代美術(笑)。

 さて、前回から「会社員生活がコーライトに役立ったよ」という話を始めました。

1.問題解決志向のアプローチ
2.プロジェクトマネジメント
3.顧客志向の考え方

 今回は2番「プロジェクトマネジメント」についてお話しします。

2.プロジェクトマネジメント

 僕がサラリーマン時代に何をやっていたかというと、IT企業でコンサルタントという肩書きで働かせてもらっていました。大企業向け基幹システムを自社開発している会社だったので、自社のシステムを使っているお客様の業務をITで支援します的な仕事です。(あまり仕事ができるほうではなかったので、以下の話に間違いがあったらごめんなさい。)

 会社としては僕という人件費の中でどれだけのお客さん(=システム利用料=売り上げ)を相手にできるかという話なので、必然的に何社もかけ持つ感じになります。1社の中でも「いつまでにこれこれをシステムで処理したい」「来年からは大きく運用を変えたい」みたいな話が並行して進んでいくので、当然ながら僕の「やることリスト」には複数のプロジェクトと、それに紐ついた大量のやることが並ぶことになります。

 ですが僕、実は「複数のことを同時並行で進める=マルチタスクが超苦手」なんですね(笑)。なのではっきり言って複数のお客さんの複数のプロジェクトを同時にコントロールするなど至難の技でした。ええ、からっきし駄目社員でしたよ。

 とはいえそれでもやるべきことはやらねばならないのでひーひー言いながらマルチタスクに慣れて、少しずつスケジュールの組み方や、物事が手戻りしないように、突然遅延しないようにするための勘所みたいなものは理解できるようになりました。そして会社を辞めて音楽一本で生きて行くようになったとき、この経験が役立ったんですね。
 きょう現在、僕は19曲を同時並行してコーライトしています。いや、もちろん19曲全部が忙しさのピークというわけではありません(そんなん来たら死にます)。中にはミックスの仕上がりを待つばかりの曲もありますし(進捗95%)、来週ボーカル録りをする曲もありますし(進捗70%)、メロディーを直している曲もあれば(進捗40%)、詞先でスタートしたコーライトで、メロディー作らなきゃと思いながらまだ何も出来ていないまま時間が経過してしまっている曲もあります(進捗10%)。
 このように複数のコーライティングが違うメンバー、違うターゲット、違う進捗で並行して進んで行くのを、Excelのチャートを作って管理していきます。ExcelだけでなくFacebookメッセンジャー、Googleカレンダー、Evernote、iPhoneのメモアプリ、音源管理はiTunesのプレイリスト。こういったツールを駆使しながら、忙しさがピークのときは逆にアナログに紙にやることを書き出して落ち着いてみたり。こういうときには会社勤めしていてよかったなと思います(笑)。学生時代からひとつのことしか出来なかった人間なので、コーライトするといっても訓練なしでは複数曲同時には難しかったと思います。
 あと、プロジェクトマネジメントといえばスケジュール管理だけではありません。むしろ関係する人間の利害を調整したり、そもそも誰をプロジェクトに入れるかの判断、優先順位をどこにつけるかの判断などもプロジェクトマネジメントの重要な要素です。これらをコーライトでいうと、コーライトメンバーの間での目的意識のズレを修復したり、誰と組むかを考えたり、限られた時間の中で何を優先的に時間を割くかの判断をしたりということにあたるでしょう。こういった観点で曲作りを俯瞰できるようになったのも、会社勤めの恩恵かなと思います。

 新入社員のころは「工数」という言葉さえ拒否反応を示して「俺は機械の歯車じゃねぇ!」とブチ切れていた僕が今では機械のように曲を作っているのだから、人生わかりません(笑)。目の前の壁を越えるために、必要ならコーライトでもExcelでもなんでも、柔軟に使っていけたら一番自由な生き方ができるんじゃないかと思います。

【次回予告】
次回は「コーライトで役立った会社員生活の経験vol.3」です。