クリエイターはあまり考えていないほうがカッコいい、的な気持ちは、僕にもある。憧れたこともある。でも、そううまくはいかなかった。もともと理屈っぽい性格なのだろう、少年のころから「どうやったらヒット曲がつくれるか」みたいな事ばかり、気づけば20年以上考え続けてしまった。
どうせなら、徹底的に考えてつくろう、と決心を固めることができたのは、職業作曲家という道をめざし始めてからのことだ。そのときに「考えること」を「カッコ悪いこと」だと思わずに済むようになった。むしろ「考えること」を「カッコ良いこと」と思えるようになった。
考えることを積み重ねていくうちに、今度はそれを人に伝えたくなった。と、いうよりも仕事上、コーライティングという場面では、考えたことを伝えなければダメだ。それも誤解なきよう、相手に気持ちよく受け取ってもらえるように伝えなければ。そこで言語化能力が少しずつ磨かれた。その時に「いちいち言葉で説明すること」を「カッコ悪いこと」だと思わずに済むようになった。むしろ「わかりやすく説明できること」を「カッコ良いこと」だと思えるようになった。
今年にはいってから、何か自分の仕事の「軸」になるようなものがほしいとずっと考えていた。クライアントから頼まれるお仕事はありがたいし、それがメインなのだが、それ以外に自分の軸となるようなもの。かといって、昨年リリースしたようなソロ曲というものも、本質的な音楽ではあるものの、「軸」という言葉はちょっと違うな、と思った。そのときに、自分に素直になって考えてみると、やっぱり「音楽について考える」ことがぼくは好きなのだ、ということに立ち返った。音楽について考え、そしてそれを言葉にして、だれかに伝えるのが好きなのだ。楽しいのだ。
そんな気持ちから、ひとつのシリーズが生まれた。それが今月からはじまる「ペンギンスTIPSシリーズ」だ。第1回は7月31日16時から、オンラインで開催する。題して「コンペで決まる!再生数が伸びる!あなたの曲をキャッチーにする12の方法」。
【申し込みは以下のPeatixリンクからお願いします】
この日は盟友・長沢知亜紀と共に、「キャッチー」について考え、そして具体的なTIPSに落とし込む形でお伝えしていきたい。「自分の曲がなかなか人に聴いてもらえない、人の印象に残らない」「自分の音楽の何かを変えればよくなる気がするが、何を変えればいいのかわからない」そんな気持ちになっている人は多いはずだ。そんな人たちに、僭越ながらなにかのヒントをお届けすることができれば幸いだ。
この「ペンギンスTIPSシリーズ」では、いくつかの具体的な想いを掲げている。
・TIPSへの落とし込みを重視する。
これは、アカデミックな理論や、オンラインサロン的な経験談よりも、誰もが再現可能で、具体的で個別のノウハウ=TIPSを重視するということ。これは僕のポリシー、というよりは正直、マーケティングの産物だ。これまでこのブログを書いてきても、経験上アカデミック寄りの記事より具体的な注意事項などを列挙した記事のほうが明らかに人気があった。そのことを素直に受け止めようと思った。
・学びのサイクルを意識する。
これもマーケティング的な話になるが、今やセミナー、教室のたぐいの最大のライバルは「自習」だ。僕だってギター教室に通わずYouTubeで動画を見て勉強しているし、すぐれたwebサイトに正しい知識のアーカイブが山ほどあり、ググればすぐ見つかる。こんな時にお金を払ってまでセミナーに参加する意義がもしあるとすれば、それは「予習、復習といった学びのサイクル」「質問に答えてくれる」といったインタラクティブな関係にあると思った。そこで学びのサイクルを意識して、予習して、質問して、理解して、復習するといった好循環が生まれるよう設計していく。
・ワークショップを交えつつ、継続していくシリーズになっている。
これは僕の想いからくるものだ。僕自身の苦い反省でもあるが、なんでもそうだが新しいことを知ると知的好奇心が満たされるがゆえに、かえって「知的好奇心でストップ」してしまい、「知的好奇心だけではない、実際の日々の仕事に活かすための実践」までたどり着けないという経験をしてきた。そこで第2回以降、定期的にワークショップ形式の開催も交えていく。そしてテーマを変えつつ、セミナー形式とワークショップ形式を入り混じった形で、長く継続していきたい、と思っている。単発のセミナーは多数開催を経験してきたし、そこに多くの方が来てくださったのはありがたいことで、感謝しているのだが、やはりそれを超えていくには、継続したシリーズとして価値を提供していくということが必要だと思った。
というわけで、長々と書いてしまったが、伝えたいことはタイトルに凝縮されている。「考えてつくる音楽は、たのしい」ということだ。そのことを感じるために、ぜひ7月31日の第1回を「体感」してほしいと思う。
上記のPeatixサイトへのリンクにて、申し込みボタンを押して頂けたら幸いです。