「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々

コーライティング(Co-Writing)で年間100曲を完成させ、職業作曲家としてメジャーアーティストに楽曲提供しているペンギンスが、毎日のコーライティングで想うことを書いてます。

ワークスウェイの話をしようか -vol.3:コンティンジェンシープラン

 こんばんは、作曲家のペンギンスです。ワークスウェイ第3夜です。今夜は「コンティンジェンシープラン」の話をしたいと思います。
 この言葉をググると緊急時対応計画とかそういうトピックが検索結果として出てくるのですが、いちおう僕の理解ではコンティンジェンシープランとは、まず第一に「代替案」のことだと理解しています。すげーざっくりした言い方にすると「だめだったときどうするか、最初から考えとけ!」という話ですね。
 今まで音楽制作の場面でさまざまなワークスウェイの説明をしてきましたが、この話は特にコーライトならではの話かもしれません。というのも、ひとりだけで何かをしている時の代替案って、言ってしまえば自分ひとりで解決するしかないので、単なる「試行錯誤」の域の話がほとんどな気がするんですね。それに対してコーライティングでは当たり前ですが複数の人間がかかわってものづくりをします。だから「ダメだった時はこうする」というのを自分ひとりで抱え込んでいてはだめで、「もしダメだったらこうしようと思ってますんで」という話をチームメンバーに伝えておくことが大事になると思うからです。
 コーライトでこの「代替案」の話がどこで一番登場するかな?と考えてみたのですが、僕の実感だとまさに人選をするときに一番代替案が必要になってくるなと思います。
 トップライナーとして曲を作ったときに、「この曲だと、どんなサウンドが似合うだろう?」と考えて、トラックメーカーにコーライトしない?と誘いをかけるわけですね。コンティンジェンシープランというのはこの時に「彼が忙しくて断られたら、あの人に声をかけてみよう。それでもだめならあの人だ」という話にほかなりません。
 あとなんといっても仮歌さんですね。「この曲だと、どの仮歌さんの声が合うだろう?」と考えて声をかけますが、いつでもつかまるとは限りません。そんな時に代替案として声をかけられる人がいるかいないかはコーライトする上で決定的に大事です。誰かひとりが風邪をひいてしまって、それで曲が完成しなくなっては困りますよね。。

 こうして考えていってみると、代替案というのは「ダメだったときどうするか考えておく」にとどまっていては不十分で、「ダメだったときに平気なように、日頃から選択肢を増やす努力をしておく」というところまでやるのが良さそうです。仮歌さんは、ひとりに頼りきりにならないように何人もうまい人を見つけておく。トラックメーカーも、何人も仲良くなっておく。コンペが来たときに忙しくて受けられなくても大丈夫なように、定期的に発注をいただいている案件についてはもう、日頃から作ってしまう。つまるところ「先手必勝」の考えを持てるかどうかが、問われている気がします。

【次回予告】
次回はワークスウェイの話をしようか -vol.4:ヒューマンスキル」です。

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