こんばんは、作曲家のペンギンスです。
早いもので今年も、もう6月です。僕はおかげさまで制作案件のスケジュールが入りそうで6月はそこそこ忙しくさせてもらえそうです。ありがたいことです。
そんな中、相変わらず顔つき合わせてのライティングセッションもなるべくやるようにしているんですが、自分自身答えが出てなくて、かつ色々な人から聞かれるのが「今度人と会ってコーライティングセッションするんですけど、ちゃんと準備していきたいんですけど何すればいいですか?」という質問です。
何すればいいんでしょうね(笑)
で済ませるのもアレなのでw、ちょっと今回はそれについて考えてみたいと思います。
以前このブログでも、コーライティングセッションに何を持っていけばいい?という機材面に関する質問には僕個人の実例をお答えしたので、そこは省きます。で、それとは別に、準備、仕込み、と呼ばれるようなものってありますよね。
・事前に簡単な曲のスケッチ(ファーストデモ)を用意しておく
・事前にリファレンス(参考になる曲など)を探しておく
・歌詞の一部や、曲のテーマ、コンセプトを考えておく
・トラックを作って持って行く
などが思いつきますね。これらの準備に共通しているのは「当日最初にやる段取りを、事前にやっておく」ということです。これは確かに時間が限られているセッションの現場を有意義なものにするためにはかなり有効な手段で、なんなら当日その場である程度仕上がったデモを、さらに良いもの、面白いもの、予想外のものにするために磨き上げるというのがコーライティングのひとつの理想なのかもしれないとすら思っています。
とはいえ、こういった当日やることを事前にやっておく系の準備には大きな弱点があります。それは「その準備が的外れだと当日の成果が出なくなってしまいむしろ逆効果」という点です。ファーストデモやラフトラックがセッションの冒頭で登場すると、どうしてもみんなそれに引っ張られることは否定できません。なので万が一事前の準備が中途半端だったり、見当違いだったりすると、その準備の内容に引っ張られて当日のセッションがおかしくなるというリスクも十分考えられます。
個人的には、コーライトの事前準備を考えるにあたっては大きな分岐点があって、それは「当日のコーライトメンバーが事前に分かっているか否か」だと思っています。事前に分かっていればグループチャットなりで(初対面なら)自己紹介、挨拶そしてセッションのターゲットの共有などがすぐできるでしょう。そしてそのまま方向性の認識をずらさないよう進めていければ、準備段階でファーストデモやラフトラックを作るのはかなり有効な準備と言えると思います。
また事前のコミュニケーションができなかったとしても、誰と組むかさえ分かっていれば、プロフィールなどを元にある程度の予想がつきます。「こういうジャンルが得意ということは、トラック先行で進めたほうが良さそうだな」「こういうポジションの人であれば、この点とこの点は当日任せよう」などなど。これもこれで貴重な情報になります。
いっぽう、当日のコーライトメンバーが事前に明かされないケースもあります。この場合、準備が的外れになるリスクはやや高まります。自分がどのポジションに入るのか、相手が何を得意としているのか。こういった情報ぬきで事前に曲の一部を作ってみたりしても、逆効果な可能性が高いと思います。
この場合は、僕はむしろ当日に何が起きても対応できるバイタリティの涵養こそが一番大切な仕事なんだなと思いました。出会ってすぐに意気投合して、猛スピードで1曲完成。そんなことができるためには余裕をもった心境で当日に臨む必要がありますよね。
コーライティングも準備が大切だが、準備で何をするかは状況によってだいぶちがうよね、というおはなしでした。